2024年12月5日から2日間、パシフィコ横浜にて開催された「ロボットワールド」。我々もロボット業界の動向を知るべく展示会を取材。今回の見どころは、ロボット本体の展示よりも、ロボットを形作る要素技術や、各業界を支える企業の取り組みが多く見受けられたこと。もっと知られるべき技術たちをご覧頂きたい。(文=RoboStep編集部)
吉忠マネキンは70年以上の歴史を持つマネキンメーカー。日本の高度経済成長期から、長きに渡り日本のマネキン産業を支えてきた。長年培った技術が、ロボット産業にも活かされている。
展示ブースを闊歩するのはiPresence社提供のコミュニケーションロボット「Temi」。ここに同社の外装技術を施し、制服を着た愛くるしい警備犬の姿に。本来の形もロボットらしい曲線が魅力だが、より親しみやすい姿に変わった。「どんな形状のロボットにも対応できる」という同社の技術力は、ヒューマノイドロボットの外装にも採用されている。
コミュニケーションロボット「Temi」とヒューマノイド型ロボットの外装
さらにTHKのヒューマノイドロボット「SEED-noid」に様々な外装を施したサービスロボット『QLOGO』シリーズを提案。受付・案内や警備・医療・介護など、目的に応じたわかりやすい外観デザインが特徴だ。
警備ロボット『QLOGO』は、過酷な屋外環境での立哨警備を一人のオペレーターが対応。屋内から着座のまま複数の拠点を監視可能。 人型が故に犯罪抑止力も期待できる
近年のサービスロボットは、その見た目もどんどん親しみやすさが増している。しかし同じ見た目のロボットが各地で導入されるからこそ「職業」や「個性」を表現できる外装技術のニーズも高まってくるだろう。
生産物の多品種化に対応するためか、ロボットが物をつかむ際の柔軟性は年々技術力が高まっている。機器商社でありながら開発から製造まで行えるメーカー商社RIXとロボットハンドツールの研究・開発を行うKiQ Robotics株式会社が共同開発した「柔軟指」もその一つだ。
様々な形状でも柔らかく、安定につかむ事が可能(引用:RIX公式)
柔軟指は、3Dプリンターで作ったラティス構造※の樹脂に柔軟性を持たせたロボットハンドツール。ロボットなどのチャックツメに柔軟指を取り付けることで、指で優しく包み込むように対象物を安定して掴むことが可能だ。様々な形状を掴むことができるため、「ツールチェンジ(段取り換え)」の工数削減を実現する。※ラティス構造=枝状に分岐した格子が周期的に並んだ立体形状
製造現場においては、品種毎にロボットのハンド部分を替える必要がある。つかむ物に対して専用チャック(=指部分)が多数存在し、管理も付け替えの手間も発生しがちだ。しかし柔軟指は微妙な形状違いごとに専用ハンドを用意する必要が無く、一つのハンドで対応が可能となる。独自の柔軟性により確実なハンドリングが行えるのが魅力だ。
その秘訣は素材にある。一般的に、突起などのある対象物を掴むロボットハンドの素材としてはゲルやスポンジなどがあるが、それらと比べると、ラティス構造の柔軟指は、強度のある素材を使って、構造によって変形を適切に調整し「やわらかさ」を実現している。
主に自動車業界向けの予定だが、今後は様々な業界向けに提案していく予定との事だ。
測量技術や地理空間情報の提供・コンサルティングを行うのはAISAN TECHNOLOGY(アイサンテクノロジー)
様々な計測方法で得た3次元地図データベース「Aisan Map Core」は、自動走行用地図、シミュレータ用モデル、各種カスタマイズデータに加工され、自治体の実証実験や自動車開発用シミュレータ等の活用が見込まれる。
アイサンテクノロジーは計測から成果物生成まで一貫して行い顧客へ提供する
高精度な3次元情報については、取り扱いのしやすい一般的な形式でのデータ提供が求められる一方で、求めるデータや属性情報は多種多様だ。アイサンテクノロジーは顧客のデータ仕様を共同で検討し、それぞれのニーズに対応したデータを提供している。
さらに自動運転システム開発においては、プロジェクトの各工程の品質の確保が重要な鍵を握る。アイサンテクノロジーは、それぞれの段階に応じたソリューションラインナップを用意している。