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2026.10.30

人口減少に国産ヒューマノイドの量産体制とフィジカルAI基盤モデルで挑む

現実世界を認識して自律的に動く「フィジカルAI」の開発競争が加速している。しかし、学習に不可欠な物理データは世界的に不足しており、多くの現場が海外製ヒューマノイドに依存せざるを得ないのが現状だ。日本の製造現場のデータが他国製ロボットのために吸い上げられ続ければ、将来の産業競争力に大きな影響を及ぼしかねない。
このリスクを乗り越えるため、機体の量産と独自AIを一体で開発し、自立した産業基盤を築く動きが始まった。(文=RoboStep編集部)

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壇上を歩く国産ヒューマノイド。自動車製造工程で実用化目指す

2026年9月17日、ヒューマノイドやフィジカルAIの独自開発を手掛ける株式会社Highlandersは、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する国家プロジェクト「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボット基盤モデルの研究開発 GENIAC(※)」に採択されたと発表した。全採択企業が集う事業計画発表会において、同社は壇上で国産ヒューマノイド「N」の歩行デモを披露し、確かな開発力を印象づけた。

(※)GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)…経済産業省とNEDOが主導する国内のAI開発力の強化と社会実装の加速を目指すプロジェクト。開発力の強化に向けてフィジカルAI基盤モデル開発やデータセットの構築等の事業支援や、社会実装の推進に向けたナレッジ共有等のコミュニティ活動の機会を提供する

(引用元:PR TIMES)

本事業で開発を進めるのは、対象物との接触状態を推定しながら滑らかな動作を生み出す国産のフィジカルAI基盤モデルだ。これだけではない。同社はさらに、三菱自動車工業株式会社と連携し、2027年の出荷開始に向けて独自の国産ヒューマノイド「N」の量産準備を進めている。この量産機に開発中のAIを組み込み、まずは自動車製造における「位置合わせ工程」での実用化を目指す。

(引用元:PR TIMES)

具体的には、ロボットが見た映像だけでなく、手で触れた感覚や加えた力の強さを同時に捉え、「どれくらいの力で押せば物がどう動くか」という物理法則を予測するWM(World Model、物理状態世界モデル)を開発する。これにより、事前に形を細かく学習していない新しい部品であっても、手探りで微調整しながら正確に位置を合わせられる性能を検証していく計画だ。既存の設備を改造することなく、人の作業スペースにそのままロボットを組み込める利点がある。

(引用元:PR TIMES)

同社代表の増岡 宏哉 氏は「日本は労働力不足が深刻化しており、フィジカルAIは日本の将来を担う最重要技術だ。しかし海外製ヒューマノイド由来のデータで学んだAIは、その機体でしか最高性能を発揮できない。このままでは海外の労働力に依存するシナリオが予見される。国産の基盤モデルと機体で解決することが最も肝要だ」と強い危機感と決意を語る。

海外依存の危機を打破。機体からAIまで自国で開発

AIの性能を左右する最大の要因は、学習データの「質」と「量」にある。しかし、画面の中のテキストと異なり、ロボットが現実世界で物に触れ、力を加える物理データは、実際に機体を動かして集めるほかない。

ここで従来の開発を悩ませてきたのが、少量のハンドメイドによるプロトタイプ機では、データ収集に限界があるという点だった。こうしたプロトタイプ機は1台ごとに個体差があり、耐久性にも劣るため、長時間の稼働で得られるデータにばらつきが生じてしまう。

Highlandersが採った戦略の核心は、フィジカルAI基盤モデルとヒューマノイド機体を組み合わせることで、機構・電子回路・組み込みソフトウェア・AIの全要素を垂直統合で独自開発することを可能にし、個体差のない均質な機体を量産できる点にある。

自動車メーカーの量産ノウハウを活かして同じ機体を大量に動かせるからこそ、高品質な実世界データを大規模に収集できる体制が整う。ハードウエアとAIを切り離さず、機体の設計から知能の構築までを一貫して手掛けるアプローチは、日本の強みである精緻なものづくり技術を最大限に発揮できる領域だ。

人手不足が進む日本の製造現場において、人間用に作られた設備をそのまま使える国産ヒューマノイドは、産業の自立性を保つ上での生命線となる。海外の機体に頼ることなく、自国の現場データを自国の知能へと還元する。機体の量産をテコにデータを支配するこの取り組みは、日本の製造業がグローバルな競争で主導権を握るための突破口となるはずだ。

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