広大な倉庫内を歩き回り、数ある棚から目当ての商品を探し出す。物流現場のピッキング作業は、作業者の多大な体力と時間を消費する過酷な業務だ。人手不足が深刻化する中、人間が歩くのではなく、機械が自ら動き回って商品を作業者の手元まで届ける画期的なシステムが本格稼働した。現場の肉体的な負担をなくし、必要な時に必要なモノを確実に届ける、最先端の倉庫自動化ソリューションの実態とは。(文=RoboStep編集部)
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2026年8月、工場用副資材の卸売企業であるトラスコ中山株式会社は、株式会社IHI物流産業システムおよびフランス発のロボティクス企業であるExotec Nihon株式会社と連携し、トラスコ中山の新物流センター「プラネット愛知」にて3次元高速ピッキングシステム「Skypod®」の本格運用を開始したと発表した。

(引用元:PR TIMES)
愛知県北名古屋市に同年5月18日から稼働したプラネット愛知は、同社最大となる東京ドーム約2個分(延床面積約89,000平方メートル)の広さを持ち、製造業が集積する中部エリアへの供給や、全国への即納体制を担う重要拠点である。
この巨大なセンターに導入されたSkypod®は、37台のロボットが高さのあるラック(棚)の中を自在に昇降して目的の商品を取り出し、定位置にいる作業者の手元まで直接搬送する「Goods to Person(GTP)」方式を採用している。

(引用元:PR TIMES)
従来、作業者は広大な倉庫内を歩き回って目当ての品を探していた。しかし、このシステムの導入により、工具や消耗品、保管用品、安全用品といった多品種にわたるプロツールのピッキングにおいて、歩行の負担と探索にかかる時間を大幅に削減できるようになった。
さらに、コンベアやクレーンなどの大掛かりな固定設備を必要としないため、将来的には現在の約63万アイテムから100万アイテム以上へと在庫を拡大していく計画に対しても、ロボットを増設するだけで柔軟に対応できる拡張性を備えている。
これまでの物流センターにおける効率化は、人間がいかに早く正確に動けるかを追求する延長線上にあった。しかし、EC市場やデジタル受注の拡大に伴う取扱商品の増加と、社会全体での深刻な労働力不足が同時に進行する現代において、人間の体力に過度に依存したオペレーションはすでに限界を迎えている。トラスコ中山が掲げる「即納こそ最大のサービス」という価値を維持し続けるためには、人間ではなく機械が主役となって動く構造への転換が不可欠である。
Skypod®のようなGTP方式のシステムが優れているのは、作業者を「歩行」という付加価値を生まない肉体労働から解放した点にある。ロボットがラックを素早く昇降し、次々と途切れることなく商品を目の前に運んでくるため、作業者は定位置にとどまったまま正確に商品をピッキングし、検品や梱包作業に集中できる。疲労によるミスの軽減はもちろんのこと、体力に自信のない高齢者や多様な人材が現場の最前線で活躍できる環境を整えることにもつながる。
また、コンベアなどの固定設備に縛られず、物量に応じてロボットの台数を後から柔軟に増やせるスケーラビリティは、変化の激しい市場環境において強力な武器となる。過剰な初期設備投資を抑えつつ、需要の波に合わせて物流の処理能力を自在にコントロールできるからだ。
労働力の確保が企業の存続を左右する時代において、作業者の負担を最小化し、働きやすい環境を提供する自動化技術は、人材獲得の観点からも大きな強みとなるだろう。最先端のロボティクスが広大な倉庫の運用を根本から塗り替え、日本のモノづくりを支える物流基盤をさらに強固なものへと押し上げていく。
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