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人類記録を次々突破!中国製ロボットの運動能力飛躍の背景

北京では8月22日、人型ロボットの運動能力を競う第2回世界人型ロボットスポーツ大会が開催されました。初めて開催された昨年よりも参加企業や参加国が拡大している同大会では、短距離走やハードル走などの一般競技のほか、サッカーや卓球、果てにはボクシングや太極拳などの51件の競技プログラムが組まれています。

同大会では1日目より、北京人形機器人創新中心が開発した「天工Ultra」が100m走でウサイン・ボルト氏の記録(9.58秒)を上回る9.32秒を叩き出すなど、人型ロボットが人類の記録を次々と打ち破っています。同大会に先立つ今年4月にも、北京で開催されたハーフマラソン大会で人型ロボットが人類記録を打ち破っており、この約1年間に人型ロボットの運動能力が飛躍的に高まっています。

そこで今回は、中国の人型ロボットがなぜこれほど急激に高い運動能力を実現するようになったのか、その背景について現地報道を見て紹介していきます。

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担当ライター 花園祐(はなぞの・ゆう)

中国・上海在住のブロガー。通信社での記者経験を活かし、経済紙などへ記事を寄稿。独自の観点から中国のロボット業界を考察する。好きな食べ物はせんべい、カレー、サンドイッチ。

速度でもウサイン・ボルト氏超え

北京のロボットスポーツ大会に先立つ8月17日、人型ロボット世界最大手の杭州宇樹科技有限公司(ユニツリー)は自社の新型人型ロボット「超人」の公式動画を配信しました。動画の中で「超人」は垂直飛びで2メートルの記録を出したほか、100メートル走における最高速度ではウサイン・ボルト氏の秒速12.35メートルを超える秒速12.66メートルの記録を叩き出していました。

(引用:Unitree Robotics 公式YouTube

先のハーフマラソンで人類を上回るタイムを記録したのもユニツリー社製の人型ロボットでした。今回の「超人」は、長距離走(持久力)だけでなく短距離走(瞬発力)でも人類を上回る運動能力をロボットが持ちうることを証明しましたが、「超人」の開発期間はわずか3ヶ月で、ユニツリー社によると改善余地はまだまだ広いとされています。

脱リモコン化による大きな前進

ではなぜこの約1年間に人類記録を次々突破するなど、中国において人型ロボットの運動能力は飛躍的に高まったのか。この問いに対する回答を示唆する意見として、清華大学のロボット研究員は、「脱リモコン化」、即ち自律走行の実現化がその運動能力が大きく飛躍した理由として指摘しています。

毎年4月に行われる北京のロボットマラソン大会では、昨年まで人が伴走してリモコンで制御しながら走るロボットが大半でした。しかし今年の大会では参加ロボットのうち、リモコンなしで自律走行するロボットが約4割を占めました。

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自律走行と言ってもただ単に決められたルートを走るだけではありません。既定のコースを把握するだけでなく、路上の障害物を避けつつ、風などの影響を受けながら走行時の姿勢を常に制御する必要があります。また認知した障害物などの情報は適時且つ適切にハードウェアへ反映させなければならず、ソフトとハードで高い連係性も求められることから、マラソンなど強度の高い運動の完全自律化は人型ロボット開発における長年のボトルネックでした。

しかしこの約1年間において、多くの中国系ロボット開発団体はこの技術的課題を克服しました。ハーフマラソンにおいても自律走行を実現するほど高い空間認知、そしてそれを動作へ反映する能力を持つに至っています。

筆者個人の意見として述べると、このハイレベルな運動動作の自律可実現こそが、多くのスポーツ競技における人類記録の突破を促した最大要因ではないかとみています。この自律化技術があってこそ高いパワーをハードへ存分に出力することが可能であり、今更ながらですが人型ロボットの可能性を大きく広げる重要な一手であったのではないかとみており、今後しばらくは人類記録突破ラッシュが続くと予感しています。

ハードウェア部品の進化も貢献

運動動作の自律化は大きな要素ではあるものの、それを支えるハードウェア方面の進化も直近の人型ロボットの記録ラッシュを支える重要な要素です。

北京日報の取材に対し某ロボット部品メーカー幹部は、「ロボットの運動能力にとって、関節こそが最も重要」と答えています。同幹部によると、人型ロボットの関節部分は2時間も稼働すると表面温度は70~80度にも達し、強度はもちろんのこと、温度上昇を抑えつつ安定性を維持することが求められるそうです。同社では温度が上昇しにくい高性能トルクモーターを現在生産しており、ロボット業界の活況を受けて需要に供給が追い付かない状態となっているそうです。

このほか別の部品メーカー関係医者も、ロボットのスポーツ大会に向けロボットメーカーと協議に合わせた高性能な部品の仕様や調達について協議することが増えており、部品業界の性能向上を牽引していると述べています。こうした部品を含むサプライチェーン全体の技術進化も、ロボットの飛躍的な運動能力向上に一役買っているとみていいでしょう。

一見すると見世物のように見えるロボットのスポーツ大会ですが、こと産業振興の観点で見れば技術開発の面で大きな役割を果たしています。ロボットの限界に挑戦する場を設けることで、各企業や研究団体の開発を促し、その構成部品を含めた技術進化の牽引に大きく成功しているように見えます。

前述の通り、動作の自律化というブレイクスルーがロボットの記録ラッシュを生む大きな要因になったと筆者は考えています。ただ中国のロボット関係者の間では、なおもロボットの動作を管理する大脳部分は未熟で課題が多く、これら課題が克服されるにつれさらなる進化を今後も遂げると予想する声がみられます。以上を考慮すると、これからの数年間は人型ロボットが劇的な進化を遂げる過渡期となるかもしれません。

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