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2026.08.14

速度2.4倍。搬送ロボ開発の未来

段差や傾斜が存在する現場で働く自律走行ロボットの開発において、多くのエンジニアが直面する壁がある。高度なセンサー制御やAIアルゴリズムの検証を目指すものの、そこへ至る前に「走破性と堅牢性を備えた足回り」の設計・試作に膨大な時間とコストを費やしてしまうという構造的な課題だ。
2026年5月、株式会社CuboRexが発売した「CuGo V4.5」は、このハードウエアの制約による開発の停滞を破る有力な選択肢となる。実用的な走行速度と自由度の高い積載構造を備えたクローラ基盤を外部から調達する。この「足回りのモジュール化」という選択が、搬送ロボットの実装スピードを大きく引き上げようとしている。(文=RoboStep編集部)

速度2.4倍とフラット荷台。現場検証を加速させる高い実用性

2026年5月19日、CuboRexはクローラロボット開発プラットフォームの最新モデル「CuGo V4.5」の販売を開始した。本機は大学や研究機関、企業のロボット開発チームを対象に、無人搬送車(AGV)や自律移動ロボット(AMR)の開発基盤として設計されている。

(引用元:PR TIMES

従来モデルからの最大の進化は、実使用を想定した走行性能の向上にある。大出力の小型ブラシレスDCモーターを採用したことで、最高速度は従来モデルの1.8 km/hから約2.4倍となる4.4 km/hへと向上した。出荷時は安全に配慮した3.6 km/hに設定されているが、専用プログラムにより最大速度まで変更可能であり、物流や搬送の現場における実証実験で求められる実用的な移動スピードに対応できる仕様となっている。

さらに、積載構造の刷新も開発の自由度を高めている。従来は荷台部分にあった制御ボックスを車体下部へ移動させたことで、高さ255mmの低車高化を実現しつつ、500×380×高さ85mmのフラット荷台を確保。最大80kgの可搬重量を維持しており、ロボットアームやLiDAR、各種コンテナなどの積載カスタマイズが容易になった。

機能面でも、外付けバッテリーへの換装による長時間稼働への対応や、Bluetooth搭載マイコンボード(Raspberry Pi Pico 2W)を介した無線でのROS 2制御をサポートするなど、検証作業を快適に進めるための工夫が施されている。足回りを一から自作することなく、導入したその日から高度な制御実験へ移行できる開発環境が整えられた意義は大きい。

足回りのモジュール化が促す、ロボティクス開発の構造転換

「CuGo V4.5」の登場は、自律走行ロボットの開発スタイルが「すべてを内製する時代」から、「完成された基盤を活用する時代」への変化を示している。

現在、ロボット開発の主戦場はAIを活用した環境認識やパスプランニング(経路計画)など、高度なソフトウエア領域へ移っている。そうした中で、高い走破性を持つクローラ機構を一から設計・製作し続けることは、試作サイクルや開発速度を低下させる要因になりかねない。信頼性の高い足回りをモジュールとして調達する手法は、プロトタイプ製作から社会実装までの期間を短縮し、開発コストを抑制するための有効なアプローチとなるだろう。

また、高い段差乗越え能力や登坂性能を持つクローラ基盤の共通化は、ロボットの活動領域を広げる上でも重要な意味を持つ。平坦な倉庫内だけでなく、段差や坂道が存在する工場、屋外の作業場、インフラ点検の現場など、多様な環境へ自律搬送ロボットを導入する際の心理的・技術的障壁を低減させることに繋がるからだ。

日本のロボティクス分野は、深刻化する人手不足を背景に、限られた開発リソースをどこに集中させるかという選別の局面を迎えている。その中で“足回りの調達”という選択肢は、アイデアを最速で実用化し、現場の自動化を前進させるための力強い推進力となるだろう。