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2026.07.15

記録を資産へ。ドローン日誌のデジタル化

ミッションを終え、機体を無事に着陸させたドローンパイロットを待っているのは、安堵感だけではない。回転を止めたプロペラから目を離し、次に向き合うのはペンと紙、あるいは表計算ソフトによる「飛行日誌」の作成である。航空法によって義務付けられたこの記録業務は、安全運航の要でありながら、現場の作業時間を奪う重い負担であり続けてきた。この「書かなければならない」という義務感が、ドローン活用の機動力を削いでいた側面は否定できない。
2026年5月、株式会社サワライズと株式会社エスシーシーは飛行日誌アプリ「SoraNote(ソラノート)」の提供を開始した。煩雑な手作業をデジタル化し、記録を単なる事務から「資産」へと変える。この記録の自動化は、日本のドローンビジネスにおける信頼の基盤を底上げする一助となるか。(文=RoboStep編集部)

手作業を脱却。SoraNoteが実現する運用のデジタル化


(引用元:PR TIMES

2026年5月20日にリリースされた「SoraNote」は、ドローンスクール事業を展開し実務に精通したサワライズと、システム開発に強みを持つエスシーシーが共同で開発したデジタルソリューションだ。最大の特長は、ドローン運用において最もアナログな領域として残されていた「記録と管理」のプロセスから、徹底的に負荷を取り除いた点にある。

機能面では、直感的な操作性が追求されている。例えば、飛行場所を地図上で指定するだけで記録が完了するマップ連動機能や、飛行時間の自動計測機能などが搭載された。これにより、初めてこのアプリを使うパイロットでも入力ミスや計算ミスを抑えつつ、正確な日誌を作成できる。

(引用元:PR TIMES

また、国土交通省が定める様式に対応し、CSV・PDFで即座に出力できる点も実用的だ。個人利用にとどまらず、複数人で機体を運用する法人や団体向けに、チーム内での共有・一元管理機能も備えている。さらに、現場ではスマートフォンで素早く入力し、オフィスではPCで詳細を確認・編集するといった、デバイスをまたいだシームレスな運用も可能だ。「提出を求められた際に過去の記録を探し出すのが大変」といった管理上のボトルネックが解消された意義は大きい。

義務を「信頼」へ。飛行データが拓くパイロットの価値

今回のSoraNoteの登場によって提示されたのは、ドローンの飛行実績が単なる「義務の履行」から、パイロットの「信頼を証明するデータ資産」へと昇華される未来である。

これまでパイロットの技能や経験は、口頭での説明や断片的な記録に頼らざるを得ない場面が多かった。しかし、デジタルで一貫して管理された飛行日誌は、客観的かつ改ざんが困難な「技能のエビデンス」となる。これは、橋梁点検や広域測量といった高度な専門性が求められる案件を受託する際に、発注者に対して自らの信頼性を提示するための強力な武器となるだろう。

さらに、蓄積されたデータを活用した「タレントマッチング」への展望も注目に値する。飛行実績と求人を直結させる仕組みの構築は、特定の機体の運用経験や飛行時間を条件とする高度なマッチングを可能にする。記録という受動的な行為が、新たな業務機会を創出する能動的な資産へと変わることで、パイロットの社会的地位の向上にも寄与する可能性がある。

日本のドローン産業は「飛ばす技能」を競う段階を終え、その活動をいかに「データとして管理し、活用するか」というフェーズへと移行した。SoraNoteが提示した、記録を資産に変えるアプローチは、産業全体のコンプライアンス意識を高め、物流や警備といった社会インフラとしてのドローン実装を支える基盤となることが期待される。