飲食店の狭い通路で、スタッフがトレイを掲げながら客の間を縫うように歩く光景。配膳ロボットの導入が進む現代でも、物理的にゆとりがない店舗は自動化の波から取り残されている。通路幅の問題で導入を諦めるか、多額のコストをかけて内装を改装するか。そんな二者択一を迫られていた現場のレイアウト事情に、ロボット側が適応する新たな選択肢が提示された。単なる人手不足の解消にとどまらず、売上の向上までを視野に入れた小型機の登場は、日本の飲食業界が抱える構造的な課題をひもとく鍵となる。(文=RoboStep編集部)

(引用元:PR TIMES)
2026年3月12日、配膳・清掃・搬送などのサービスロボットの輸入販売や導入支援を手掛ける株式会社DFA Roboticsは、提携するKEENON Robotics社製の最新モデル「KEENON T11」の販売を開始した。
本製品の最大の特徴は、最小通過幅がわずか49cmという極めてコンパクトな機体設計にある。これまで大型の配膳ロボットが通れなかったカフェや居酒屋といった飲食店、あるいはクリニックにおけるカルテの運搬など、スペースに余裕のない施設でも既存の環境のままスムーズに稼働できる。
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小型でありながら、配膳の安定性にも優れている。複数のセンサーを用いた3Dビジョン検出とミリ秒レベルの動作判断により、混雑した店内でも障害物を柔軟に回避する。六輪の衝撃吸収シャーシを備え、急停止時でも液体がこぼれにくい設計となっており、ドリンクや汁物の配膳も安心して任せられる。
さらに、AIを搭載したトレイの検出システムにより、料理が正しく受け取られたかを自動で認識。受け取ってほしいトレイを青く光らせ、誤ったトレイに手が伸びると音声で注意を促す機能も備え、現場のオペレーションをきめ細かくサポートする仕様だ。
国内で3,500台超のサービスロボット導入実績と、全国140カ所以上の保守拠点を持つ同社が取り扱うことで、導入後の運用やメンテナンス面での安心感も担保されている。
この製品が飲食業界にもたらす実用的な価値は、導入の物理的ハードルを引き下げたことだけではない。機体前面に搭載された18.5インチの大型ディスプレイによって、ロボットの役割が「作業の代替」から「売上の創出」へと拡張されている点に注目したい。
(引用元:PR TIMES)
従来の配膳ロボットは、人手不足を補うための「コスト削減」の手段として導入されるケースが多く見られた。しかし、店内の客席を縫って移動するロボットの機体は、必然的に多くの顧客の視線を集める。本製品は、顧客の視線が自然と向く機体前面に高精細なサイネージを配置。おすすめメニューやキャンペーン情報を表示することで、配膳と同時にプロモーションを行う「動く広告塔」として機能する。これは単なる人件費の削減ではなく、客単価の向上というトップラインの引き上げに直接寄与する設計だ。
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また、機体は表情や音声、ヘッドアクセサリーなどのカスタマイズが可能であり、単なる機械ではなく「店舗の看板スタッフ」としてのキャラクター性を持たせることもできる。親しみやすい存在となることで、共に働く従業員の心理的負担を軽減し、定着率の向上につながる効果も期待されている。
日本の飲食店の多くは、限られた面積の中で最大限の席数を確保するレイアウトを採用している。ロボットのために人間が店舗を作り変えるのではなく、既存の狭い空間にロボットが入り込み、配膳と営業を同時にこなす。ハードウェアの小型化と機能の複合化が進むことで、サービスロボットは単なるコスト要因ではなく、利益を生み出す実用的なツールへと進化していくだろう。