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2025.05.30

アフターサービスの高付加価値で商機をつかめ ~vol.1 アフターサービスが競争力を決める時代

製品や技術の差別化が難しくなった今、顧客が価値を感じるのは「使った後」の体験にある。特にロボットやIoT機器のような複合的なテクノロジー製品では、導入後の保守・運用がブランドの信頼に直結する。高まるユーザー要求、全国一律の対応、高度な知識を要する対応現場——こうした課題をどう乗り越えればよいのか。

今回、RoboStepはJapanStepのパートナー企業で、全国規模の体制で100社以上のサポートを担うJBサービス株式会社(以下、敬称略)とタッグを組み、「アフターサービス」をテーマに連載をお届けする。多くの機器がAI・IoT化するなか、競合優位性を高める鍵となる「アフターサービス」のあるべき姿を考える。(RoboStep編集部)

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スペック競争の先にある勝負の土俵

製品開発のスピードが増し、新しい技術や機器が次々と登場する中で、企業の差別化戦略はますます難しくなっている。「ロボットやAI・IoTを組み合わせた高度な製品は、製品そのものも革新的ですが、導入後の利用体験まで含めて価値を感じてもらわなければ、市場に定着することは難しくなってきています」。そう語るのはJBサービス サービスソリューション営業事業部 AIoT営業部 部長 犬童 博志 氏だ。

「機能やスペックは、競合にすぐに模倣されてしまいます。結局のところ、お客様が感じる価値は“その後”にあるんです。つまり、購入後にどれだけ安心して使い続けられるか、困ったときにどれだけ頼れるか。それが今、製品を選ぶ際の大きな判断基準のひとつになっています」(犬童氏)

とりわけ日本市場では、技術に対する信頼だけでなく、“人”による対応が重視される傾向が強い。トラブル時にすぐに電話がつながり、現場に技術者が来てくれる。そんな「当たり前」が担保されているかどうかが、導入の成否を分ける。

「実際、大手企業や自治体の入札でも、“全国一律のアフターサービス体制があること”が条件に含まれることが増えています。たとえ製品が優れていても、サービス体制に不安があれば、選ばれません」と犬童氏は語る。

特にサブスクリプションモデルやサービスロボットのように、継続利用が前提となる製品では、この「使った後の体験」がビジネスの根幹を支えている。

「製品は“売って終わり”ではなく、使ってもらって初めて価値が生まれます。その価値を支えるのが我々の役割。そこに誇りを持って、サービスを提供しています。今や、どれだけすごいスペックの製品を出しても、それだけでは選ばれません。問題は、その製品をどう支えるか。その支え方で、企業の実力が問われる時代です」(犬童氏)

アフターサービスを阻む4つの高い壁

技術革新が加速し、製品のライフサイクルが短期化する中、企業が競争力を保つためには、単に“良いモノを作る”だけでは足りない。むしろ、“使い続けられる環境”をどう設計できるかが、製品価値そのものを左右する。特にロボットやIoT製品のように、ITと機械装置が高度に融合した機器は、アフターサービスの設計が製品の成功可否を分ける要因となる。

「導入時に“これはすごい!”と驚かれても、半年後に“壊れても直せない”“誰に相談したらいいか分からない”という状況では意味がないですよね。むしろ期待値が高かった分、落胆も大きくなる。それがブランドに対するダメージになります」と犬童氏は警鐘を鳴らす。

ただ、アフターサービス体制の構築は決して容易ではない。犬童氏は、企業が直面する“4つの壁”を挙げる。

まず、日本特有の高いサービス期待値。海外メーカーのような最低限のリモート対応では、日本の利用者には通用しにくい。対面での柔軟な対応が信頼の鍵となる。次に、全国一律の品質維持。アフターサービスは人に依存する部分が多く、どの現場でも同水準の対応をするには技術教育と現場力の担保が欠かせない。

さらに、コスト面の課題も大きい。全国網を自前で構築するには人材育成や拠点整備に莫大な投資が必要で、持続可能性が問われる。そして最後はノウハウの継承。センサーやネットワークなど複合技術を扱うIoT機器では、属人的な知見では限界がある。当社ではナレッジのデジタル化や、開発初期からのサービス設計提案で課題に対応しているという。

「アフターサービスは“受け身”だと思われがちですが、我々は“能動的に価値を高めていく”存在なんです。製品の構造から運用方法まで一緒に考えることで、より良い体験を作っていけると確信しています」(犬童氏)

現在、JBサービスが注力しているのは、配膳ロボットや案内ロボットといったサービスロボット分野だ。これらは現場常駐での稼働が前提となるため、保守性や予防保全の仕組みが求められる。JBサービスでは、AIを活用した稼働監視や予兆保守にも取り組み始めているという。

JBサービスが展開するアフターサービス

「“壊れてから直す”のではなく、“壊れる前に知らせる”。それができれば、ユーザーの満足度もぐっと上がりますし、製品の信頼性も高まる。われわれは“守りの仕事”だと思われがちですが、実は“攻め”の側面も強いんですよ」(犬童氏)

さらに、利用価値が「所有」から「利用」へと変化する今、サブスクリプションモデルへの対応も進めている。定期点検や契約型のメンテナンスパッケージなど、収益と顧客満足を両立させるサービスメニューの設計が求められている。

(連載第2回に続く)

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