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2025.02.04

改めて「ロボットのプログラミング言語」を知る――産業用からAIまで支える基盤技術を解説

あらゆる電子機器に必要な「プログラミング言語」。「C++」や「Java」といった名前だけ知り、開発をしない方にとっては、それらがどのような役割を果たすのかイメージが付きづらいと思います。しかも、ロボットの用途や目的によって使用される言語は多種多様なことも取っつきにくさに拍車をかけています。

この記事では「そもそも、なぜプログラミング言語が必要なのか?」という所からスタート。産業用ロボットで使われる標準的な言語から、AIロボット開発で注目される最新の言語まで、それぞれの特徴と活用方法について、実例を交えながらわかりやすく解説します。

ロボットのプログラミング言語とは?

ロボットのプログラミング言語とは、ロボットに動作を指示するための「言葉」です。人間が言葉を使って意思を伝えるように、ロボットにも理解できる形で指示を出す必要があります。そのための共通言語として、様々なプログラミング言語が開発され、活用されています。

なぜロボットにプログラミング言語が必要なのか

産業用ロボットを例に考えてみましょう。ロボットアームが部品を掴んで移動させる場合、「どの位置で」「どのくらいの力で」「どの方向に」動かすのかを、細かく指示する必要があります。このような複雑な動作を正確に実行するために、プログラミング言語による指示が不可欠なのです。

産業用ロボットの標準言語「SLIM」について

産業用ロボットの世界では、「SLIM」(Standard Language for Industrial Manipulators)という標準言語が広く使われています。SLIMは1992年に日本産業規格を取得しており、メーカーが異なるロボットでも共通して使える言語として普及しています。Basic言語に似た文法を採用しており、初心者でも比較的学びやすいという特徴があります。

主なロボットプログラミング言語の種類と特徴

ロボットの進化に伴い、様々なプログラミング言語が使われるようになってきました。それぞれの言語には特徴があり、ロボットの目的に応じて使い分けられています。主要な言語の特徴と活用場面を見ていきましょう。

産業用ロボットの現場で活躍する「C言語」

C 言語は、産業用ロボットの制御に最も広く使われている言語の1つです。処理速度が速く、ハードウェアを直接制御できる特徴があり、特に基本的な制御システムの開発に適しています。メモリ管理が柔軟で、リアルタイムの制御が必要な産業用ロボットの基本システムでよく使用されます。

複雑な制御を可能にする「C++」

C++は、C言語の機能を拡張した言語で、より高度なロボット制御を可能にします。オブジェクト指向(プログラムの要素をモノ(オブジェクト)として扱う考え方)のプログラミングに対応しており、複雑な機能を持つロボットの開発に適しています。特に、多関節ロボットアームの制御や、複数のセンサーを組み合わせた高度な制御システムの開発で重宝されています。

AIロボット開発の主役「Python」

近年、人工知能(AI)を搭載したロボットの開発が進む中で注目を集めているのがPythonです。豊富なライブラリが用意されており、機械学習やデータ処理を比較的容易に実装できる特徴があります。画像認識や自然言語処理など、高度な機能を持つロボットの開発に適しています。

多様な制御システムを支える「Java」

Javaは、ロボット開発において幅広い用途で活用されているプログラミング言語です。様々なプラットフォームで動作し、セキュリティ面でも優れているため、特にネットワークに接続して動作するロボットの開発に適しています。人との協働を行うロボットなど、高度な制御システムが必要な場面でも、その信頼性の高さからJavaがよく選ばれています。

ロボットプログラミングの制御方法を知ろう

ロボットにプログラムを教え込む方法には、様々なアプローチがあります。それぞれの特徴を理解することで、より効率的なロボット開発が可能になります。

テキスト型プログラミング

最も基本的な方法が、プログラムコードを直接入力する「テキスト型プログラミング」です。専用のエディタを使って1行ずつコードを書いていく方法で、細かな動作の調整が可能です。比較的単純な動作を行うロボットや、同じ動作を繰り返し行うロボットの制御によく使われます。

シミュレータ型プログラミング

コンピュータ上でロボットの動きをシミュレーションしながらプログラミングを行う方法です。実機を使わずにプログラムの動作確認ができるため、安全かつ効率的な開発が可能です。特に、複雑な動作を行うロボットの開発では、シミュレータの活用が一般的になっています。

ダイレクトティーチング

プログラミングを必要としない方法として、ダイレクトティーチングと呼ばれる手法もあります。ロボットを直接手で動かしながら、その動きを記憶させる方法です。特に協働ロボットでは、ダイレクトティーチングが多く採用されています。プログラミングの専門知識がなくても、必要な動作を教えることができる利点があります。

※併せて読みたい:今さら聞けない「ロボットの制御方法」~自動化を支える基本技術

産業用からAIまで、進化を続けるロボットプログラミング

ロボットのプログラミング言語は、産業用ロボットの標準言語SLIMから、AI開発に適したPythonまで、用途に応じて進化を続けています。また、テキスト型からダイレクトティーチングまで、様々な制御方法が開発され、より使いやすいロボットの実現に貢献しています。

今後は、AIとの融合やプログラミングの自動化により、さらに高度な機能を持つロボットの開発が期待されます。ロボットプログラミングの進化は、製造現場の自動化から人とロボットの協働に至るまで、ビジネスの可能性を大きく広げていくでしょう。