2030年には4兆円を超えると言われるサービスロボット市場。現在は、搬送用ロボットが中心だが、生成AIの進化も追い風に、ロボットの進化とビジネスの成長が期待される。RoboStepの創刊を記念し実施したインタビューでお話を伺ったのは、ロボット業界団体の最大手の一つ、ロボットビジネス支援機構(RobiZy)で代表副理事長を務める伊藤ディビッド逞叙氏。今後日本においては、自動化・自律化革命であるRX(ロボティクス・トランスフォーメーション)が重要だと語る同氏に、サービスロボットの現状と可能性を聞いた。(文=RoboStep編集部)
伊藤デイビッド逞叙 氏
RoboStep創刊おめでとうございます。ロボット大国日本とはいえ、サービスロボットに関する情報や事例を紹介するメディアは少ないですから、とても嬉しいですし期待しています。
分野にもよりますがロボット市場はおよそ30%程度の成長率で伸びてきています。現在は、レストランや倉庫などの搬送ロボットの市場が大きいですが、病院やビルの清掃での活用も広がりつつあります。家庭用のお掃除ロボットもだいぶ当たり前の光景になりましたが、業務用の清掃ロボットの伸びも高まってます。技術的なブレイクスルーが起きれば大きくなると言われているのがビルメンテナンス関係ですね。
また、テスラがヒューマノイドロボット「Tesla Bot」を生産することが話題になりましたね。現在は、価格も高く、技術的な課題もありますが、大企業が資本を入れて展開する企業も出てきており、将来的にヒューマノイドロボットは確実に出てきます。ヒューマノイドロボットが加わると、市場規模はさらに大きくなるとも言われています。
2020年にすかいらーくや幸楽苑が導入を決めたのは大きかったですね。2021年に爆発的に搬送ロボットの導入台数が増え、以降も増え続けています。倉庫でのAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)なども警備などでの活用が広がっています。
そもそも、産業用ロボットとサービスロボットの区分けも難しくなってきました。工場でも、倉庫内の搬送につかうロボットはサービスロボットと定義することもありますし、いわゆるアーム型で工場に据え付けられるロボット以外は、すべてサービスロボットと定義することもできるでしょう。
日本がドイツのGDPに抜かれたことが話題になりました。日本の人口減少による国力低下が話題になることもありますが、現在のドイツの人口は約8400万人。日本は2070年には総人口が9000万人を割り込むと言われていますが、ドイツはすでにその人口です。むしろ、自動化・自律化を図り、人手不足を解消し、生産性を上げることができれば、日本はまだまだ世界で勝負できる。
そこで重要になるのが、自動化・自律化です。介護・飲食などでは、ロボット活用はとても遅れています。人手不足という課題が待ったなしの現状において、単純作業からでも導入を進めていく必要があります。私が代表副理事長を務めるロボットビジネス支援機構(RobiZy)もそのために存在しています。
今後も「RX(Robotics Transformation)=ロボット変革」を掲げ、圧倒的な生産効率向上を目指す「自動化・自律化革命」を起こしていきたいですね。