私たちの生活やビジネスの現場で、ロボットの存在感が日々高まっています。レストランでは配膳ロボットが、ビルやオフィスでは清掃・警備ロボットを目にするようになりました。これらは「サービスロボット」と呼ばれ、製造現場で働く「産業用ロボット」とは明らかに違った使われ方をしています。
本記事では、サービスロボットの定義から具体的な活用例まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
サービスロボットとは、主に人間が行う動作や作業を支援するロボットのことです。
ソフトバンクロボティクス社の人型ロボット「Pepper(ペッパーくん)」をイメージするとわかりやすいかもしれません。サービスロボットは、警備や受付、掃除や運搬など様々な仕事を人に代わって行います。
(引用:ソフトバンクロボティクス)
より馴染みのあるものとしては、お掃除ロボットなどが挙げられます。お掃除ロボットは、部屋の間取りや家具の位置、汚れやすい場所などを自動的に学習し、充電から清掃、ゴミ捨てまでを全自動で行ってくれます。その他にも、店舗や会社の受付業務を行うロボットなど、多様なロボットがサービスロボットに該当します。
ロボットには、大きくわけて産業用ロボットとサービスロボットの2種類があります。両者の主な違いは、活用される用途と場所にあります。
産業用ロボットは、名前の通り産業の自動化を目的として工場などで導入・利用されます。その構造は日本産業規格(JIS)により明確に定義されています。
一方、サービスロボットは産業用ロボット以外のロボットの総称で、人が行う業務をサポートしながら顧客の体験価値の向上を図ることができます。サービスロボットの場合、具体的な構造的定義は特に決められていません。
ロボットが料理を作り、ロボットが配膳するHCI ROBO HOUSE
サービスロボットは、屋内用ロボットと屋外用ロボット(フィールドロボット)の大きく2つに分けられます。これらのロボットは、それぞれの環境に適した機能や特性を持ち、様々な場面で活用されています。
屋内用ロボットは主に建物内部で使用され、人々の日常生活や業務をサポートします。以下のようなロボットが屋内用ロボットに該当します。
●医療ロボット:手術支援ロボット、機器運搬ロボット
●AIを搭載した家電製品:ロボット掃除機
●コミュニケーションロボット:人型ロボット
●運搬ロボット:配膳ロボット
●警備ロボット:巡回ロボット
●清掃ロボット:吸引式ロボット、洗浄式ロボット
●接客支援ロボット:ホテルの受付業務や店舗での案内・商品説明を行うロボット
屋内用ロボットは、主にオフィスや病院、商業施設、家庭など、人々の生活に密接した様々な場所で活躍しています。
ファミリーレストランに導入されている配膳ロボットは代表的なサービスロボット
一方、屋外用ロボット(フィールドロボット)は、より過酷な環境で使用されることが多く、ゆえに耐久性や環境適応能力が求められます。具体的には以下のようなロボットが挙げられます。
●農業用ロボット:農薬散布ロボット、自動収穫ロボット
●建設ロボット:自律型ショベルやダンプトラック
●災害対応ロボット:レスキューロボット
●運搬ロボット:荷物搬送ロボット
●移動用ロボット:無人搬送車、自律走行搬送ロボット
●ドローン
屋外用ロボットは、農業、建設、災害対応など、人間が作業するには危険や困難を伴う場面で特に重要な役割を果たしています。
一方、屋外用ロボット(フィールドロボット)は、より過酷な環境で使用されることが多く、ゆえに耐久性や環境適応能力が求められます。具体的には以下のようなロボットが挙げられます。
●農業用ロボット:農薬散布ロボット、自動収穫ロボット
●建設ロボット:自律型ショベルやダンプトラック
●災害対応ロボット:レスキューロボット
●運搬ロボット:荷物搬送ロボット
●移動用ロボット:無人搬送車、自律走行搬送ロボット
●ドローン
屋外用ロボットは、農業、建設、災害対応など、人間が作業するには危険や困難を伴う場面で特に重要な役割を果たしています。
(引用:Cognite)ボストンダイナミクス社の「Spot(スポット)」は、代表的なフィールドロボット。4足歩行で応用が効きやすいため、研究開発にも重宝されている
サービスロボットの導入は、様々な業界で多種多様なメリットを提供しています。従来の人力に頼った業務体制から、人間とロボットが補完し合う新しい形態へと移行することで、企業の競争力向上や社会課題の解決にも貢献しています。
サービスロボットを導入する主なメリットには、以下のようなものがあります。
サービスロボットは24時間365日稼働できるため、人手不足が深刻な業界での労働力補完に貢献します。特に介護や小売業など、慢性的な人材不足に悩む分野では、ロボットの導入により従業員の負担を大幅に軽減することができます。
また、夜間や休日のシフトなど、人間にとって負担の大きい時間帯の業務をロボットが担当することで、労働環境の改善にもつながります。
ロボットは人間よりも高速かつ正確に作業を行えるため、生産性が大幅に向上します。
例えば、倉庫での在庫管理や商品のピッキング作業では、ロボットの導入により作業時間を大幅に短縮し、ミスも減少させることができます。また、データ分析や情報処理などの分野では、AIを搭載したロボットが膨大な量のデータを瞬時に処理し、人間の意思決定をサポートします。
サービスロボットの導入は、顧客との接点を増やし、サービスの質を向上させることで、全体的な顧客体験を大きく改善します。
小売店舗の案内ロボットは、迅速で正確な情報提供を行うことで顧客の満足度を高めます。また、多言語対応のロボットを導入することで、インバウンド需要にも効果的に対応できます。
飲食店での配膳ロボットは、注文から配膳までの時間を短縮し、顧客の待ち時間を減らすことができます。さらに、ロボット自体が一種のアトラクションとなり、集客や話題作りにも貢献します。
サービスロボットの導入が増加している背景には、深刻化する人手不足やコロナ禍での非接触・非対面ニーズの高まりがあります。また、政府の補助金制度も導入を後押ししています。特に、少子高齢化が進む日本では、労働力人口の減少が大きな社会問題となっており、サービスロボットはその解決策の一つとして期待されています。
しかし、サービスロボットの導入・運用には課題も存在します。まず、現場担当者のリテラシー不足が挙げられます。ロボットの操作知識や安全ルールの周知が不十分だと、効果的な活用が難しくなります。また、ロボットだけでは対処できない問題も多く、完全な無人化は現実的ではありません。
さらに、技術面での課題もあります。例えば、通信が不安定な環境下ではロボットの管理が難しくなることがあります。また、サイバー攻撃のリスクに備えて適切な対策を講じる必要もあるでしょう。
サービスロボットの普及により、私たちの生活や働き方は大きく変わる可能性があります。日常的な家事や介護の負担が軽減され、より質の高い生活を送れるようになるかもしれません。
一方で、高齢者や技術に不慣れな人々がロボットを使いこなせるかという問題や、ロボットの誤作動や故障時の対応など、技術と社会の調和に関する課題もあります。これらの課題に丁寧に対応しながら、人間とロボットが共存し、互いの長所を活かせる社会を作っていくことが重要だと言えます。