全国で野生鳥獣による農林業被害が課題となる中、林業従事者の減少や高齢化が進んでいる。獣害の兆候や倒木、路面の状況など森林内の変化を把握するためには、人が定期的に山中へ入り、見回りを行わなければならない。だが、急峻な地形や下草、ぬかるみなどがある山林での巡視は、作業員の身体的負担が大きく、転倒や滑落などの安全面のリスクも伴う。
こうした森林巡視の負担軽減と安全性向上に向け、ロボット技術を活用した実証が進められている。2026年9月30日、株式会社XNOVA、Unitree Robotics社、株式会社Eco Forest Friendlyの3社は京都市との共催により、京都市西京区の森林で自律走行型四足歩行ロボットを用いた森林巡視の実証を実施した。足場の定まらない厳しい自然環境でロボットの走行性能を検証する試みが、森林保全と獣害対策の省力化に向けた新たな可能性を提示しようとしている。(文=RoboStep編集部)
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(引用元:PR TIMES)
フィジカルAIを手がけるXNOVA、ロボットメーカーのUnitree、森林・林業分野のDXを推進するEco Forest Friendlyの3社による本実証は、京都市西京区の森林を舞台に行われた。京都市が共催を務め、公益財団法人京都市森林文化協会などが協力機関として参画している。
本実証では、Unitree製の四足歩行ロボットを使用し、現地の路面・植生・傾斜などに応じて走行区間を設定した上で、踏破性と運用性を検証した。また、取得したGPSデータを用いて、森林内でのナビゲーションに向けた基礎検証も行い、自律巡視に向けた課題を洗い出した。
今回の取り組みでは、3社がそれぞれの技術や専門知識を持ち寄り、役割を分担している。XNOVAが建設現場向けロボット事業で培った知見を生かし、森林巡視を想定したロボット制御やGPSナビゲーション、運用方法の検証を担当。Unitreeが四足歩行ロボット機体の提供と技術支援を担った。さらにEco Forest Friendlyが、林業・森林管理の知見の提供や地域・自治体・林業事業体との調整、事業化の検討などを受け持つことで技術と現場ニーズの橋渡しを図っている。
今後は森林内での位置推定精度の向上や巡回ルート生成に加え、電源や通信、防水性などの改善が進められる予定だ。
3社連携による今回の実証が示唆するのは、四足歩行ロボットの活用領域を工場や建設現場などから、地形や路面状況が一定ではない森林環境へと広げる可能性を示している。
これまで四足歩行ロボットは、工場やプラント、建設現場などでの巡回・点検への活用などが中心だった。一方、森林では地形や路面状況が一定ではなく、屋内施設とは異なる運用上の課題がある。実際の森林環境でロボットを走行させ、技術面と運用面の課題を具体化したことは、今後のフィジカルAIの実用性を一段階引き上げるための重要な契機となるだろう。

(引用元:PR TIMES)
また、今回の取り組みは、林業における「人と機械の役割分担」という観点でも意義深い。これまで人が現地に赴いて担ってきた森林巡視の一部をロボットで代替できれば、作業員の身体的負担を軽減し、転倒や滑落などのリスクを抑えられる可能性がある。さらに、将来的にはロボットによる現地情報の収集を通じて、シカやイノシシなどの出没状況の早期把握や、林道・治山施設の点検、森林資源の計測などへの活用も期待される。
フィジカルAIの価値は、人が足を踏み入れることを躊躇する危険な現場を肩代わりすることにある。3社と京都市が提示した山林巡視のモデルは、担い手不足に直面する日本の林業を守るための重要な基盤となるだろう。
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