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2026.08.26

地下を飛ぶ小型ドローン。インフラ保守の形

老朽化が進む社会インフラ。特に下水道などの地下空間は有毒ガス発生のリスクをはらむ過酷な環境だが、人間による目視点検に頼らざるを得ないのが実情だった。しかし人手不足が深刻化する中、いつまでも危険な作業に依存し続けることはできない。そこで、人間の代わりに超小型のドローンを暗闇の奥深くへ潜入させ、取得した映像から現場を立体的なデータで可視化する試みが動き出した。安全で効率的な保守作業を支える、最新のインフラ点検ソリューションを紹介する。(文=RoboStep編集部)

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狭小空間ドローンと3Dモデル化で地下を可視化

2026年7月、ICTソリューション事業を手掛けるテックファーム株式会社は、老朽化インフラの点検需要の拡大を見据え、狭小空間向けドローンを活用した高精細な3Dモデル化事業へ参入すると発表した。

(引用元:PR TIMES

日本の下水道管路は今後20年で標準耐用年数を超えるものが急増する見通しだ。しかし地下空間は狭く暗いだけでなく、有毒ガス発生などの危険も伴う。それにもかかわらず、点検作業は人間による目視に大きく依存してきた。安全に運用できる人材の確保が急務となる中、人が立ち入りにくい場所へドローンを投入し、空間情報を取得する手法が注目されている。

(引用元:PR TIMES

同社は、狭小空間の点検に特化した株式会社Liberaware製のドローン「IBIS2」のゴールドパートナーとなり、機体提供を開始した。この機体は約20センチメートル四方、重量243グラムと小型で、直径50センチメートルの配管内も飛行できる。

最大の特徴は、単なる機材の提供にとどまらない点にある。これまで培ってきた空間構築のノウハウを応用し、ドローンで取得したデータから設備内部を高精細に3Dモデル化する。これにより、現地での確認が必要だった設備状態を沿革から把握できるようにし、点検履歴や劣化状況を重ね合わせた高度な維持管理へとつなげる。

まずは下水道管路の点検分野で展開し、今後は共同溝やプラントの配管など、あらゆる閉鎖空間への応用を見据える。社会インフラの保守体制強化を力強く後押しする構えだ。

点検業務の再定義。データが支える予防保全

インフラの維持管理において、これまでは人間が定期的に現場へ赴き、異常を目視で確認する労働集約的なアプローチが主流だった。しかし点検を担う人材が急速に減少する中、この手法はすでに限界を迎えている。

こうした背景において、暗所や狭小空間を飛び回るドローンと、得られたデータを3Dモデルへ変換する技術の組み合わせは、インフラ管理のあり方を再定義する。作業員が有毒ガスのリスクに怯えながらマンホールを下りる必要はなくなり、安全な場所から遠隔で配管の奥深くまで確認できる。ドローンが人間の肉体的な限界を補い、危険な業務を代替するのだ。

さらに重要なのは、取得したデータが3Dモデルとして仮想空間に蓄積される点である。これまでの点検結果は紙の報告書や部分的な写真として記録されることが多く、設備全体の経年劣化を直感的に分析することは難しかった。しかし、現場の状況が立体的なデジタルデータとして保存されれば、過去と現在の状態を容易に重ね合わせて比較できる。ひび割れの進行度合いや腐食の広がりを正確に把握することで、事故が起こる前にピンポイントで補修を行う「予防保全」が可能になる。

テクノロジーの導入は現場の作業を楽にするだけでなく、蓄積されたデータが意思決定を支え、限られた予算と人員で広大なインフラ網を持続的に守り抜く基盤となる。

老朽化という脅威に対し、小さなドローンと高度なデータ処理が結集することで、日本の保守体制は新たな時代を迎える。データに基づく効率的な維持管理の仕組みが定着することで、生活を支える見えない基盤はこれからも安全に機能し続けるはずだ。

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