1. RoboStep TOP
  2. ロボット業界の今を学ぶ
  3. 最大150トンを自動運搬。重工業の自動化を推進するロボ

2026.07.02

最大150トンを自動運搬。重工業の自動化を推進するロボ

日本の製造業では工場全体の自動化が重要な経営課題となっている。しかし、加工や検査の自動化が進む一方で、数十トンを超える重量物の搬送工程は依然として人手に頼る場面が多い。こうした自動化のボトルネック解消を実現する自立運用ロボットが登場した。新たなロボットは重工業の現場をどのように変えていくのだろうか。

超重量物の自動運搬で、工場のボトルネックを解消

2026年5月11日、ロボットの管理運用システムや機器の開発・販売を手掛けるROBO-HI株式会社は、超重量物を自動搬送するロボット「RoboCar® AGV 50T」「RoboCar® AGV 100T/150T」の販売を開始した。同社は複数メーカーのロボットを統合管理するシステムROBO―HI OSを手掛けている。そのOSと搬送ロボットを組み合わせることで工場内の搬送を自動運用するシステムを構築できる。

フラッドべッド型(左)、油圧リフト式輸送タイプ(右)
(引用元:PR TIMES


(引用元:ROBO-HI Webサイト

製品の最大の特徴は50トンから150トンまでの超重量物を自動で運搬できる点にある。超重量物の運搬には、専門的な技能を持った人とクレーン設備が必要になることが多い。しかし、複数のロボットや作業者が同時に動く現場で安全性を確保するにはコスト面や技術的な課題もあり、自動搬送に対応したロボットの数は決して多いとは言えない。

こうした課題に対して、「RoboCar® AGV 50T」と「RoboCar® AGV 100T/150T」は、360°レーザースキャナやバンパーセンサーなどを組み合わせた非常停止回路を実現している。クラウド上の計算を反映させるだけではなく、現場の情報をロボットで把握し、緊急時には自ら停止する機能を備えている。

また、100トン以上を運搬する「RoboCar® AGV 100T/150T」では2つの高機能を実装した。一つは位置決めの精度だ。重量物を設置する際に大きな誤差が生じた場合、修正するにはクレーンなどを操作する必要がある。その作業は多大なロスにつながり、生産性を低下させる。それらを防ぐため、位置決めの精度は±10mmを実現している。

もう一つは全方向に移動できる独立ステアリングの採用だ。四輪以上の駆動を実装することにより、狭いスペースでも旋回や移動が可能となっている。

重厚長大産業の企業価値を向上させる自律走行ロボット

ROBO-HIの製品の価値は主に2つ考えられる。一つは製造業の技術継承への対応だ。

数十トンを超える部品を安全に運ぶには、熟練のクレーン作業者が数名必要とされてきた。しかし、製造業における作業者の高齢化は進み、その継承も困難になりつつある。工場内の運搬はものづくりの大動脈であり、その機能の維持が困難になると製品の製造に支障が生じる。現場の解決すべき課題を解消できる点は大きな価値と言えるだろう。

もう一つは工場全体の自動化を加速させる点だ。製造ロボットの普及により、検査や加工など特定の生産ラインの自動化は実現している。しかし、工程と工程の間の部品の運搬は人手に依存しているケースも多い。つまり、ROBO-HIの製品を導入することにより自動化のボトルネックとなっていた部分を解消できると言える。

重量物搬送は、これまで自動化が難しい工程の一つだった。ROBO-HIの製品は、その領域を自動化することで工場全体の効率化を後押しする。日本の重厚長大産業の競争力向上を支える技術として広まっていくはずだ。