(引用元:PR TIMES)
ロボット開発の最前線では今、大きなパラダイムシフトが起きている。従来の「プログラムされた通りに正確に動く」段階から、AIがカメラの映像や言葉を理解し、人間のように臨機応変に行動する「フィジカルAI」の時代へと競争の舞台が移っているのだ。
しかし、この次世代ロボットの開発には、AIに動作を教えるための膨大な学習データと複雑な環境構築が必要不可欠であり、多くの企業にとって高いハードルとなっている。
この課題に対し、AIロボティクス技術の社会実装を目指す株式会社Forcesteed Roboticsが、新たな一手を投じた。国産ロボットメーカーugo株式会社が開発した「AIロボット向け模倣学習キット」の提供を開始し、導入から開発までをワンストップで支援する体制を整えたのだ。日本企業の次世代ロボット開発を強力に後押しするこの取り組みは、製造や物流といった産業の現場を、そして日本のロボティクス研究をどう変えていくのか。その可能性に迫る。(文=RoboStep編集部)
2026年1月13日、Forcesteed Robotics社は、ugo社の「AIロボット向け模倣学習キット」の正規代理店としての取り扱いを開始したと発表した。このキットの中核となる技術は、「模倣学習(Imitation Learning)」と呼ばれるものだ。
従来のロボット制御では、エンジニアが「座標AからBへ移動し、角度Cでアームを曲げる」といった命令を1行ずつプログラムする必要があった。対して模倣学習では、人間がコントローラーを使ってロボットを遠隔操作し、お手本となる動作を行う。AIはその動作中の映像、関節の角度、力の入れ具合などをデータとして学習し、人間が行った作業を自律的に再現できるようになる。いわば、職人の技を弟子が「見て盗む」プロセスを、ロボットとAIで実現する技術だ。

(引用元:PR TIMES)
今回のキットでは、ugo製の双腕ロボット「ugo Pro R&Dモデル」が採用されている。人間と同じ「2本の腕」と「移動機能」を備えているため、配膳やピッキングといった汎用的な作業データの収集に最適だ。さらに本キットは、映像や言語を組み合わせて行動を生成する「VLAモデル」などの最新AIに対応。オープンソースソフトウェアに準拠しているため、収集したデータを使って即座にAIの学習を開始できる。
Forcesteed Robotics社は、単なる機材販売にとどまらず、どのようなデータを集めるべきかというコンサルティングからAIモデルの学習代行までを支援する。これにより、AI開発のノウハウが少ない企業でも、最先端のフィジカルAI開発にスムーズに参入できる点が大きな強みだ。
今回の連携が持つ意味は、単なる新製品の発売にとどまらない。世界中で開発競争が激化する「フィジカルAI」領域において、日本独自の開発エコシステムを構築しようとする重要な試みだ。
ロボットのAI化において、データの「質」と「量」は決定的な差を生む。海外製の研究用ロボットが多い中、サポート体制の整った国産ロボットを使用し安全かつ高品質なデータを蓄積できる環境は、日本の製造業や物流業にとって大きなアドバンテージとなるだろう。
現場へのインパクトも計り知れない。これまでのプログラム制御では難しかった「形が定まらない食品の盛り付け」や「乱雑に置かれた荷物の仕分け」といった作業も、模倣学習によってロボットが柔軟に対応できるようになる可能性がある。ロボットが単なる自動機械から、現場の状況を見て判断する「パートナー」へと進化する未来が見えてくる。
Forcesteed Robotics社とugo社という国内スタートアップ同士の共創は、日本のロボット産業の底力を示す象徴的な事例だ。「プログラム」から「学習」への転換期において、この国産プラットフォームが世界と戦える次世代ロボットを生み出す基盤となることに期待したい。