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2025.08.20

「AI×センサー」で印字ミスを瞬時に検知!食品工場の新たな品質保証体制

画像処理を用いたトータルサービスを提供するフューチャースタンダード社が、距離センサーとカメラ、そして生成AIを組み合わせた「印字検査ソリューション」を国内食品工場の包装ラインに導入。実証実験を開始した。賞味期限やロット番号の印字検査を自動化し、ヒューマンエラー削減と品質保証体制の強化に貢献する。(文=RoboStep編集部)

人手頼りの印字検査からの脱却


(引用元:PR TIMES

食品製造の現場において、賞味期限やロット番号といった印字情報の正確性は、製品の安全性と信頼性を担保する上で極めて重要だ。印字ミスは、製品の自主回収といった多額のコスト発生やブランドイメージの低下に直結しかねない。

しかし、高速で稼働する包装ラインでは、これらの印字情報を全数チェックするために、作業員が常時目視で確認する必要があり、人員確保の難しさや、特に夜間帯における作業員の負荷が大きな課題となっていた。従来の画像解析ソリューションも存在するが、学習コストや初期・運用コストの高さ、空パレットの誤撮影や画像のブレによる印字ミスの見逃しといった課題があり、安価で実用的な代替手段が求められていた。

こうした背景を受け、株式会社フューチャースタンダードは、距離計センサーとカメラ、そしてGoogle AI Studio(生成AI)を活用した「印字検査ソリューション」を開発し、国内食品工場の包装ラインに導入、実証実験を開始した。この新ソリューションは、複数のセンサーを組み合わせることで検査精度を大幅に向上させ、カメラのみで解析した場合と比較して誤検知を50%削減することに成功している。

そのシステムの流れはこうだ。まず、包装ラインを流れる製品が設定された距離に来た瞬間のみ、距離センサーがトリガーとなりカメラが連写を開始。これにより、製品がない状態での空撮影をゼロにする。次に、1秒間に15枚撮影された画像の中から、シャープネス判定によって最も鮮明なフレームが自動で選別される。そして、選ばれた画像をGoogle AI Studio(生成AI)がOCR(光学的文字認識)処理し、賞味期限やロット番号の文字列を認識。同時に、印字の欠け・かすれといった異常も判定する。万が一、異常が検知された場合には、ライン脇に設置されたパトランプが点灯するとともに、担当者へメールで通知が送られる。将来的には、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)と連携し、異常検知時に自動でラインを停止させることも可能だという。


(引用元:PR TIMES

AIとデータが導く食品工場の新たな品質保証体制

フューチャースタンダードの「印字検査ソリューション」は、単に作業を自動化するだけでなく、検査の質そのものを向上させる可能性を秘めている。

従来のカメラ単体での画像解析では避けきれなかった、製品が流れていないタイミングでの誤撮影や、搬送中の振動による画像のブレといった課題を、距離センサーとの連携によって巧みに克服した。さらに、文字認識の核となる部分にGoogle AI Studioという生成AIを活用することで、従来のOCR技術だけでは難しかった多様な印字状態(フォント、サイズ、印字面の凹凸など)への柔軟な対応や、より高精度な欠け・かすれの判定が期待できる。これは、単に人間の作業を機械に置き換えるのではなく、人間の目視検査が持つ細やかな判断力と、機械ならではの高速かつ連続的な処理能力を融合させた、より高度な検査品質の実現を示唆している。

今回の事例は、特定業務である印字検査に特化しつつも、センサーフュージョン(複数センサー情報の統合)や生成AIといった先端技術を巧みに組み合わせることで、高い費用対効果と実用性を両立させている。このコア技術が持つ汎用性と、それが社会全体のさまざまな課題解決に貢献し得るポテンシャルは、他分野への展開の可能性も期待させる。

この取り組みは、AIが決して万能な魔法の杖ではなく、現場の具体的な課題やニーズを深く理解し、既存技術やほかのセンサー技術と適切に組み合わせることで初めてその真価を発揮するという、AI活用の本質を示す好例と言えるだろう。