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2025.07.28

除草剤を使わずCO₂も削減!清掃機器大手が手掛ける「温水除草システム®」

清掃機器メーカー大手のケルヒャー ジャパンが、除草剤不使用でバイオ燃料にも対応する「温水除草システム®」を「第7回 国際 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2025)」に出展した。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)登録済みのこの環境配慮型除草技術は、建設現場や公共空間の維持管理におけるサステナビリティと作業効率の両立を実現し、業界の新たなスタンダードとなる可能性を秘める。(文=RoboStep編集部)

ケルヒャーがCSPI-EXPOで「温水除草システム」を展示

清掃機器の世界最大手メーカー、ケルヒャーの日本法人であるケルヒャー ジャパン株式会社は、2025年6月18日から幕張メッセで開催された「CSPI-EXPO 2025」において、環境配慮型除草技術「温水除草システム」を中心とした最新ソリューションを展示した。建設・測量業界では、生産性向上と同時に環境負荷低減への取り組みが喫緊の課題となっており、ケルヒャーはこれに応える形でサステナブルな現場管理のあり方を提案する。


(引用元:PR TIMES

今回注目された「温水除草システム(HDS 1000 DE WEED)」は、薬剤を一切使用せず、約98℃の高温水を安定供給し、雑草を根から枯死させる革新的な技術だ。これにより生活道路や公園、学校といった、化学物質による周辺環境への影響が特に懸念される場所でも、安全かつ安心な除草作業が可能となる。さらに、本システムは高圧洗浄機としても利用でき、一台で多様な現場ニーズに対応する汎用性も備えている。


(引用元:PR TIMES

環境配慮の観点からは、CO₂排出量削減への貢献も大きな特長だ。本機はバイオディーゼル燃料に対応しており、展示では株式会社ユーグレナの次世代バイオディーゼル燃料「サステオ(HVO100%)」と共に紹介された。「サステオ」は持続可能性に優れたバイオマス原料から製造され、原料となる植物が成長過程でCO₂を吸収するため、燃焼時のCO₂排出量が実質ゼロとなるカーボンニュートラルの実現が期待される燃料だ。従来の軽油と同等の性能を持ちながら、エンジン改造が不要な「ドロップイン型燃料」であるため、実用性と環境性能を両立させている。

この「温水除草システム」は、その新規性と効果が認められ、2024年12月にはNETISにも登録(登録番号:QS-240026-A)された。これにより、公共工事における活用が一層進むことが期待される。ケルヒャーブースではこのほか、除草、清掃、除雪、高所作業など多用途に対応する多目的作業車「HOLDER C 65 SC」や、床洗浄ロボット、超高圧洗浄機なども展示され、建設現場の「安全・効率・環境配慮」を実現する幅広いソリューションが紹介された。


(引用元:PR TIMES

環境にも人にも優しく〜進化するインフラ管理技術

ケルヒャーの「温水除草システム」が建設・公共インフラ管理にもたらす価値は、作業方法の改善にとどまらず、より広範な領域に及ぶ。

まず、除草剤を使用しないことによる環境負荷低減の影響は計り知れない。土壌や水質汚染のリスクを回避し、地域の生態系保全にも貢献する。また、バイオ燃料の活用は、脱炭素化という世界的な潮流に合致し、特に公共インフラや自治体関連工事において重要な評価軸となるだろう。

作業員の観点から見れば、薬剤散布時の化学物質への接触リスクから解放され、より安全な労働環境が実現する。そして何よりも、生活空間における化学物質の使用が減ることは住民の安心感向上に直結する。これらは、SDGsやESG経営といった現代社会の普遍的な要請に応える、これからのインフラ管理のあり方そのものを示している。

また、「温水除草システム」と同時展示される「HOLDER C 65 SC」のような多目的作業車との連携は、広範囲の除草作業における一層の効率化と省人化を実現するだろう。将来的には、AIによる雑草の自動認識やピンポイントでの温水処理、GPSと連携した作業ルートの最適化、あるいは遠隔操作や自律走行といったスマート技術との融合も視野に入ってくる。

ケルヒャーが提案するソリューションは、単なる高性能な清掃・除草機器の提供にとどまらず、より持続可能で、安全かつ効率的な社会インフラの維持管理を実現するための統合的なプラットフォームへと進化していく可能性を秘めている。それは、人と環境が調和した未来の街づくりに不可欠な技術となるかもしれない。