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2025.04.28

ペットロボットについて知る―進化を続ける"共生型ロボット"の最前線

1990年代後半、コンピュータの小型化と高性能化が進み、ロボット技術は大きな転換期を迎えていました。それまでロボットといえば産業用が中心でしたが、家庭向けの新しい製品カテゴリーとして注目を集めるようになります。

1999年、ソニーから発売された犬型ロボット「AIBO(アイボ)」は、わずか17分で完売するなど大きな反響を呼び、ペットロボット市場の幕開けとなりました。これは単にヒット商品として注目を集めただけでなく、「ロボットと人間の新しい関係性」を示した画期的な出来事だったと言えます。

家族の一員として愛されているペットロボット。人工知能やセンサー技術の進化により、より自然なコミュニケーションが可能になっています。本記事では、ペットロボットの基本から最新動向まで、ビジネス視点で分かりやすく解説します。

(引用元:SONY) 

ペットロボットの特徴

(引用元:LOVOT

技術の発展により、ペットロボットの機能は大きな進化を遂げています。人工知能やセンサー技術の向上により、より自然な反応や感情表現が可能になり、単なる玩具から「共に暮らすパートナー」へと変化しています。

より進化した癒やしの機能

近年のペットロボットは、触覚センサーや温度センサーを搭載し、撫でられたことを感知して反応するだけでなく、その触れ方の強さや場所によっても異なる反応を示すようになっています。また、内蔵されたヒーターにより体温のような温かみを感じられるものや、心臓の鼓動のような振動を発生させるものもあり、より生き物らしい存在感を実現しています。

コミュニケーション能力の向上

音声認識技術とAIの発展により、人間との対話能力も飛躍的に向上しています。単純な命令への反応だけでなく、会話の文脈を理解して適切な返答をしたり、飼い主の声を認識して異なる反応を示したりすることが可能になっています。さらに、クラウドと連携することで、日々の交流を通じて成長していく機能を持つものも登場しています。

ペットロボット活用の広がり

ペットロボットは一般家庭での利用以外にも、さまざまな分野での活用が進んでいます。特に医療・福祉分野では、その効果が注目を集めています。

一般家庭での導入

(引用元:pixabay

住宅事情やアレルギーの問題で実際のペットを飼えない家庭でも、ペットロボットなら気軽に導入できます。また、餌やりやトイレの世話が不要なため、仕事で忙しい家庭でも無理なく一緒に暮らすことができるでしょう。最新のペットロボットは学習機能を備えており、家族との交流を重ねることで、その家庭ならではの「思い出」を作ることも可能です。

医療・福祉分野での活用

(引用元:トレンドマスター株式会社

高齢者施設や医療機関では、アニマルセラピーの代替として、ペットロボットの導入が進んでいます。特に認知症のケアにおいて、ペットロボットとの交流が心理的な安定をもたらすことが報告されています。また、子どもの心理療法の場面でも、コミュニケーションを促進するツールとして活用されています。

電子ペットから“家族”へ 〜これからのペットロボット〜

技術の進化により、ペットロボットはますます生命感のある存在へと近づいています。人工知能やIoT技術の発展により、より自然な感情表現や学習能力の向上が期待されます。また、単なる癒やしの存在としてだけでなく、家族の見守りや緊急時の通報といった、実用的な機能を備えたものも登場するでしょう。

もはやペットロボットは「玩具」ではありません。人間とロボットが共生する未来の形を示す重要な存在として、今後もさらなる進化を続けていくでしょう。