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2024.12.26

衛生データを活用し、温室効果ガス排出量を可視化へ~三菱電機、三菱UFJ銀行、衛星データサービス企画、GHGSat社の4社がパートナーシップ契約を締結

2021年に日本は、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減する脱炭素化目標の改定を行った。2013年度から46%の削減、さらに50%削減という高みに向け挑戦を続けている。脱炭素化目標の達成に向けて、企業や自治体においても、脱炭素化は重要な課題だ。三菱電機、三菱UFJ銀行、衛星データサービス企画、GHGSat Inc.(ジーエイチジーサット、以下GHGSat社)が衛星データを利用した温室効果ガス排出量の可視化に関するパートナーシップ契約を締結した。(文=RoboStep編集部)

温室効果ガスの排出量を衛星データで可視化

4社は本パートナーシップを通じて、衛星が観測した世界中の温室効果ガス排出量のデータから、観測対象ごとの傾向をモニタリングし、分析した情報を企業および自治体などのユーザー向けに提供するサービスの実現を目指す。本サービスの提供を通じて、温室効果ガス削減などの社会課題解決に貢献していくという。

温室効果ガスは、地球温暖化を引き起こす気候変動の主な要因であり、地球環境への影響から、排出量削減に向けた取り組みが世界的に進められている。2023年に開催された第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、パリ協定の目標達成に向けた世界全体の進捗を評価するグローバル・ストックテイクの実施が初めて採択され、企業や政府、自治体は自らの温室効果ガス排出量をより正確に、統一された基準で把握する必要性が高まっている。特に産業界では、低炭素技術への転換や再生可能エネルギーの普及など、多額の投資による長期的な視点に立った戦略的な計画が必要となっている。

今回、三菱電機、三菱UFJ銀行、衛星データサービス企画、GHGSat社の4社は温室効果ガスの削減に取り組むユーザーを対象に、衛星データを利用した温室効果ガスの排出量をわかりやすく可視化するサービスの検討を進める。

具体的には、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT:Greenhouse gases Observing SATellite)シリーズ衛星の広域にわたる観測データと、GHGSat社が持つ衛星コンステレーション(多くの衛星で編隊を形成し、協調した動作をさせるシステム)による温室効果ガスの発生源のピンポイント観測データを融合し、温室効果ガスの排出量をわかりやすく可視化したデータを提供するサービスについて検討されるという。

「いぶき」は環境省、JAXA、国立環境研究所による共同プロジェクトのもと開発された、二酸化炭素・メタンなどの温室効果ガスの濃度分布などを観測する衛星だ。

継続的に温室効果ガスの排出量をモニタリングし、客観的で精度の高いデータを提供するほか、エネルギーパイプラインのガス漏れなどの異常を迅速に通知し、事故を防ぐなど、安全管理にも寄与することを目指すという。これによりユーザーは新規に設備を導入することなく、衛星データに基づいた温室効果ガスの排出量が把握可能となる。また、温室効果ガス削減に向けた具体的な目標設定や効率的な進捗管理を行うことで、透明性・サステナビリティを高めることができる。