貨物自動車運送事業、倉庫業、荷造梱包業などを手掛ける日本ロジテムが、5つの事業拠点でアシストスーツを80台導入した。導入したのは東京理科大学発スタートアップで アシストスーツを製造・販売するイノフィスの「マッスルスーツSoft-Power」だ。アシストスーツが物流倉庫の荷役作業の身体的負担軽減に一役買っている。(文=RoboStep編集部)
倉庫における荷受作業では、重い荷物の荷下ろしや仕分けが日常的に行われ、作業者に大きな負担がかかる。ICTやロボットの導入が一部進んでいるものの、パレットの積み替えや段ボールの開封など手作業が「名もなき荷役作業」として残っており、作業者の身体的負担を生む要因となっている。
また人手不足も課題だ。少子高齢化で若手の確保が困難を極めており、ベテラン作業者の負担が増大し、腰痛による労災や離職の原因にもなっている。そこに拍車をかけたのが、コロナ以降急増したEC需要の拡大だ。作業量の増加、原材料高騰等によるコスト削減の圧力がある中で、賃金による待遇改善が進みにくい現状だ。作業環境を改善することは、人材を確保する上でも重要な経営課題だ。
日本ロジテムがアシストスーツを導入した5営業所は、荷主企業様から業務委託を受け、荷物の仕分け作業や出荷業務を行う物流拠点だ。パレットや台車からの荷物の積み替え作業があり、身体的負担という課題があったという。
現場の作業負荷軽減は人手不足を解消する大事な打ち手の一つだ
イノフィスは技術先行ではなく、問題解決を目的とし、問題を抱えたユーザーの困りごと解消を果たす開発を行う東京理科大発のスタートアップだ。一般に、大学発ベンチャーというと、技術シーズありきだと捉えられることが多いなか、ユニークなアプローチだ。同社が注力しているのが「困っている人をロボットの力で支えること」で、今回のマッスルスーツもその一つだ。
日本ロジテムが今回導入した「マッスルスーツSoft-Power(ソフトパワー)」には、「生きている限り自立した生活を実現したい」をミッションに掲げるイノフィスがマッスルスーツシリーズで長年培った人工筋肉のアシスト技術がサポーターの背面部に組み込まれている。
サポータータイプでは同社比で最強クラスの補助力を実現。同社調べによると、腰の負担を35%軽減するという。製造・物流倉庫での持ち上げ・持ち運び作業や、介護現場でのつらい姿勢維持、農作業の前傾姿勢など腰に負担のかかる作業で効果を発揮する。
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導入した日本ロジテムは「当社では以前から外骨格型のアシストスーツを試験導入して、現場の負担軽減対策に取り組んできましたが、従来のアシストスーツでは負担軽減力は感じるが動きにくさや、装着時の煩わしさから現場に定着させることができず、活用が進みませんでした。マッスルスーツ Soft-Powerであれば、軽量でありまたソフトなため導入することといたしました。導入後は、当社として作業に合わせた装着方法の指導を実施し現場への定着化を図る取組を進めています。今後は使用者の拡大に繋げたいと考えています」と、導入メリットを語り、今後の拡大にも含みを持たせた。