延々と続く広大な廊下を、重いモップを引きずりながら歩き続ける。介護施設やオフィスビル、商業施設を支える清掃現場において、日々の床掃除は作業員の身体を消耗させてきた。少子高齢化に伴って人手の確保が一段と厳しさを増す中、清掃品質の維持とスタッフの負荷軽減は待ったなしの課題となっている。作業の省人化に向けて自律走行型の清掃ロボットに期待が集まるものの、床材の違いや複雑な通路設計、歩行者の往来といった現場ごとの障壁に阻まれ、導入しても使いこなせないまま放置されるケースは少なくない。
こうした現場実装の壁を突き崩し、確かな自動化を根づかせる取り組みが全国で加速している。株式会社SERTは、業務用清掃ロボット「Sveabot S100 Pro M」の販売および導入支援の全国展開を本格化させた。掃き掃除からモップ掛け、除菌までをこなす機体と、現場の動線に寄り添った運用設計を組み合わせることで、人と機械が支え合う新たな清掃体制を切り拓こうとしている。(文=RoboStep編集部)
▼国内外のトレンドを毎日掲載!
ロボット活用のリアルを解く『RoboStep』
SERTが全国展開を本格化させた「Sveabot S100 Pro M」は、施設内を自律走行しながら床清掃を行う業務用ロボットだ。

(引用元:PR TIMES)
この取り組みは専門紙でも注目を集め、「高齢者住宅新聞」2026年7月1日号および「日本ビル新聞」2026年8月3日・17日合併号に相次いで掲載された。同社は現在、全国で実機デモンストレーションの受付を進めている。
本機の強みは、床面を清潔に保つための主要な機能を1台に凝縮している点にある。掃き掃除、ゴミやホコリの吸引、モップ清掃、さらにはUV-C除菌に対応。日常的に繰り返される過酷な床掃除を自動化することで、清掃スタッフの作業負担を大幅に軽減する。導入対象は介護施設や高齢者住宅、病院といった衛生管理が重視される空間から、オフィスビル、商業施設、ホテル、工場、倉庫まで多岐にわたる。
(引用元:PR TIMES)
さらに同社は、産業機械や設備分野で培ってきた経験を活かし、「製品を販売して終わり」にしない導入支援体制も構築している。現場の床材やレイアウト、通路幅、人の往来、清掃時間帯などを事前に細かくヒアリングした上で、最適な清掃ルートや運用フローを設計。導入後の運用サポートまで伴走することで、ロボットが現場で確実に稼働し続ける環境を整えている。
SERTによる今回の全国展開が示唆するのは、清掃業界における自動化の成否が「完全な無人化」ではなく「人とロボットの適切な役割分担」にかかっているという事実である。
現場の作業をすべて機械に委ねようとすると、複雑な隅の汚れや予期せぬ障害物への対応が難しくなり、かえって現場の混乱を招きやすい。同社が掲げる「ロボットが得意な作業はロボットに、人にしかできない作業は人に」という指針は、そうした自動化の過度な期待を排した実戦的なアプローチだ。広大な床面の往復作業をロボットへ任せることで、スタッフは細部の清掃や仕上がりの点検、施設利用者への対面対応といった、人にしか担えない業務に注力できるようになる。
また、ロボット導入を単なる「ハードウエアの納品」にとどめず、泥臭い現場環境に合わせてルートや運用をすり合わせる姿勢も注目すべき点だと言える。実際の動線に適合させることで初めて、ロボットは真に現場で役立つ道具となるからだ。
労働力不足が進む日本において、建物の衛生と安全を守り続けるためには、人と機械が互いの強みを生かし合う環境づくりが不可欠だ。SERTが提示した現場密着型の協働モデルは、清掃業界が過密な労働環境を改善し、安定した運営を確立するための現実的な一手となるだろう
▼国内外のトレンドを毎日掲載!
ロボット活用のリアルを解く『RoboStep』