インターネット通販の拡大で物流量が増加する一方で、それを運ぶ現場の深刻な労働力不足に陥っている。特に「重い荷物を運ぶ」という物理的な重労働は、作業者の高齢化も相まって限界に達しつつある。
この課題を解決するため、長年にわたり自動車などの駆動系部品を作ってきた老舗メーカーが、ロボット開発という新たな領域へと参入し始めた。日本の製造業が培ってきた「モノを動かす技術」は、物流の現場をどう変えていくのだろうか。(文=RoboStep編集部)
2026年4月、インテックス大阪で開催された「第7回 関西物流展 KANSAI LOGIX 2026」において、株式会社エクセディは過去最大規模となるブースを設け、最新の省力化ソリューションを披露した。

(引用元:PR TIMES)
同社は1950年に設立され、世界中に拠点を持つ駆動系部品のグローバル企業である。今回、事業ポートフォリオ転換の一環として、長年培ってきた摩擦・振動・流体といったコア技術を活かし、物流業界の喫緊の課題である人手不足や重労働を解決するスマートロボットや電動アシスト製品を展開している。

(引用元:PR TIMES)
会場で注目を集めた製品の一つが、最大1トンの重量物を牽引できる自律走行搬送ロボット(AMR)「Neibo(ネイボ)」だ。高度なカスタマイズが可能なオープンAPIを備えた自社開発の機体であり、既存設備であるローラーコンベヤと連携した荷物の自動移載や搬送のデモンストレーションが行われた。

(引用元:PR TIMES)
また、人間の作業をサポートする電動アシストタガー「EMOVA(エモーヴァ)」の操作体験も実施された。これは既存の台車やカートに連結するだけで、1トンまでの重量物であっても牽引力の約3分の2をモーターがアシストする製品である。免許がなくても足の操作で簡単に連結・脱着でき、手が離れれば自動ブレーキが作動する安全設計が施されている。さらに、ドライブレコーダーの映像をAIが解析して危険運転を自動検知するサービスなども紹介され、ハードとソフトの両面から現場を支える体制が示された。
IT企業やロボティクス専業メーカーが中心となってきた自動化市場に、伝統的な自動車部品メーカーが本格参入することは、ロボットの社会実装において大きな価値を持つ。
物流や製造の現場で1トンを超えるような重量物を安全かつ正確に運ぶためには、ルートを計算するソフトウェアの知能と、モーターの力を効率よく車輪に伝える強靭な物理的メカニズムが不可欠になる。長年にわたって過酷な環境下での自動車走行などを支え続けてきた企業の技術蓄積は、そのままロボットの信頼性と耐久性に直結するからだ。
加えて、すべてを機械に任せるAMRと、人間の力を補う電動アシスト機器を同時に提供している点も非常に実用的だ。現場の通路幅や業務フローの都合上、完全な自動化が難しい環境は数多く存在する。そうした現場であっても、電動アシストの力が加わることで、年齢や性別を問わず重労働を安全にこなすことが可能になり、働き手の裾野を広げることができる。
ソフトウェアの高度化ばかりが注目されがちなフィジカルAIの領域において、モーターやギアといった機械的な駆動技術の完成度は、ロボットが実社会で長期間働き続けるための生命線となる。日本の伝統的な製造業が持つ圧倒的な品質と知見が新しい分野へと転用される動きは、労働力不足にあえぐ現場に余裕をもたらし、次世代の産業インフラを持続可能なものへと育てていくはずだ。