連日のようにニュースで流れる「クマ出没」の知らせ。住宅街や通学路にまで姿を現す猛獣に対し、現場で盾となるハンターたちは疲弊し、命がけの対応を強いられている。もはや人力による対策だけでは地域の安全を守り切れないのが現実だ。
この危機的状況に、ドローンソリューションを提供するTerra Drone株式会社が驚くべき一手で挑んだ。宮城県石巻市で始動したのは、上空から「クマよけスプレー」を噴射し、人を介さずに猛獣を追い払うという前代未聞のプロジェクト。空飛ぶロボットが切り拓く「第三の防衛策」は獣害対策の常識をどう変えるのか。(文=RoboStep編集部)

(引用元:PR TIMES )
2026年1月19日、Terra Droneは石巻市とクマ出没時の被害防止に関する協定を締結する企業に対し、「クマよけスプレー搭載ドローン」の提供および運用支援を開始したと発表した。
背景にあるのは、もはや「人力だけでは限界」という現場の声だ。環境省のデータによれば、クマの出没件数は2021年から163%も増加し、負傷者・死者ともに記録的な数字となっている。一方で、対応の要となる狩猟免許所持者は1975年の約52万人から2020年には22万人ほどに半減。その6割近くが60歳以上という高齢化の波に飲まれている。警察や自衛隊も野生動物への対応には制約があり、迅速な現場投入は困難なのが実情だ。
今回導入されたソリューションは、こうした既存体制の穴を埋める切り札となる。最大の特徴は、オペレーターの安全を完全に確保できる点だ。地上からクマに接近することなく、約500m〜1km離れた場所からドローンを遠隔操作し、上空からピンポイントでスプレーを噴射する。搭載されるスプレーはトウガラシ由来の成分「カプサイシン」を含み、人間の数千倍の嗅覚を持つクマに対して強烈な刺激を与えることで、一時的にひるませ、退避させる効果がある。即座に現場へ急行し、空から「見えない壁」を作ることで、人とクマの接触事故を未然に防ぐ即効性の高い手段と言える。
今回の石巻市のケースでは、地元の測量会社で市と協定を結んでいる株式会社佐藤土木測量設計事務所がドローンの操縦・運用を担う。これにより、出没情報が入った際に民間企業が素早く現場対応にあたるという、機動力のある初動体制が構築されることになる。
この取り組みが画期的なのは、獣害対策という公共性の高い課題に対し、ドローン技術を介して「民間企業」がプレイヤーとして参入可能になった点だ。これまでクマ対策は行政と猟友会の枠組みに依存していたが、担い手不足により持続可能性が危ぶまれていた。しかし「空からの追い払い」という新たな選択肢が加わることで、測量会社や警備会社といった地域の民間事業者が、そのリソースを安全対策に活用できるようになる。
環境省もクマ被害対策に巨額の予算を計上するなど、国による支援も強化されている。今回の石巻市での官民連携モデルが成功すれば、同様の課題を抱える全国の自治体へと波及し、防災・獣害対策といったドローン活用の新たな市場が確立されるだろう。
(引用元:Terra Drone株式会社公式サイト )
また、本プロジェクトを主導するTerra Droneは、測量や点検分野で世界的な実績を持ち、全国にドローンパイロットのネットワークを有している点も心強い。地域の測量会社やドローン事業者を巻き込んだこのエコシステムは、特定の地域だけでなく、全国どこでも迅速に導入可能な体制を構築できるポテンシャルを秘めている。
危険な任務をロボットが肩代わりし、人と動物の適切な距離を保つ。この「第三の対策」は、持続可能な地域社会を守るための具体的かつ希望のある防衛線となるはずだ。Terra Droneは今後、全国の自治体へこのモデルを展開し日本の獣害対策を変革していくとしている。