各種サービスロボットの販売及び導入支援を行う株式会社アイティーシムは、株式会社サードプラネットが運営する「サープラ横浜あそびタウン」の2025年7月19日のリニューアルオープンに合わせ、計3台の清掃ロボットと搬送ロボットを納入した。クレーンゲーム機設置台数世界一を誇るこの大規模アミューズメント施設では、営業時間中もロボットたちが稼働し、革新的な店舗運営をサポートする。
(引用元:PR TIMES)
今回導入されたロボットの一つが、YIJIAHE社製の清掃ロボット「JINNY40」だ。広い店内の清掃作業を自動化することを目的としている。導入に先立ち、令和6年度の神奈川県ロボット実装促進センターが募集した導入実証サポートにて、その自律走行性能と清掃性能の高さが認められた。本格導入にあたっては、単なる清掃機能だけでなく、店舗のキャラクター「ネコペリー」のラッピングを施し、さらに小型キャラクター「ベイビークラッピー」を搭載。来店客に楽しさを感じてもらうエンターテインメント性を高めつつ、音声による注意喚起役も担う。
(引用元:PR TIMES)
もう一つが、Doog社製の搬送ロボット「Thouzer(サウザー)」だ。こちらは、店舗運営の長年の課題であった店内物流の効率化と、スタッフの身体的な負担軽減を目的に導入された。具体的な活用シーンとしては、倉庫から店舗へのクレーンゲーム用景品の運搬や、閉店後のメダルや100円硬貨の運搬が挙げられる。特に硬貨の回収は、スタッフが低い姿勢での作業を強いられる体力的な負担が大きい業務だった。「Thouzer」はシンプルな操作性と、既存のかご台車を牽引オプションでそのまま活用できる点が評価され、導入が決定した。
(引用元:PR TIMES)
リニューアルオープン後は、これら2種類のロボット計3台が営業中の店内を動き回り、来店客へのエンターテインメント性訴求の向上とスタッフの負担軽減に貢献していく。
今回の「サープラ横浜あそびタウン」へのロボット導入は、エンターテインメント空間におけるサービスロボットの新たな役割を示す興味深い事例だ。
清掃ロボット「JINNY40」は、単に床を綺麗にするという「裏方」の業務をこなすだけでなく、店舗の人気キャラクターの装飾を施すことで、空間を盛り上げる「演者」として機能している。ロボットの存在そのものが、子どもたちをはじめとする来店客にとっての新しいアトラクションとなり、店舗の魅力を高める付加価値に繋がる。これは、ロボットが業務効率化だけでなく、顧客体験の向上にも直接貢献できることを示している。
「JINNY40」の導入経緯も注目に値する。神奈川県の導入実証サポートという公的な支援が、今回の本格導入への大きな後押しとなった。サービスロボットのような新しい技術を導入する際には、初期投資や運用への不安がどうしてもつきまとう。その中で、こうした自治体や公的機関による支援は、企業の導入リスクを低減し、社会実装を加速させる上での有効な一手となるだろう。
一方、搬送ロボット「Thouzer」が解決するのは、顧客の目には直接触れにくい「バックヤードの課題」だ。景品や大量の硬貨の運搬といった業務は、華やかな店の裏側で日々繰り返される重労働であり、スタッフの身体的負担は大きい。こうした業務をロボットが代替することは、従業員満足度の向上や人材の定着に繋がり、ひいてはスタッフがより質の高い接客サービスへ集中できる環境を生み出す。
今回のプロジェクトを主導したアイティーシムのような、SIer(システムインテグレーター)の価値も浮き彫りになる。彼らは国内外の多様なロボットを取り扱い、顧客が抱える課題に合わせて最適なソリューションを提案する。今回の事例でも、清掃と搬送という異なる課題に対して、それぞれに適したロボットを選定し、さらにエンタメ性を加味した提案を行っている。これはロボットの社会実装において、ハードウェアの性能だけでなく、現場の課題を深く理解し、最適な運用方法までをデザインするSIerの役割がますます重要になることを示している。
「サープラ横浜あそびタウン」の取り組みは、ロボットが業務効率化とエンターテインメント性を両立できることを示している好例だ。これは、未来の商業施設のあり方を提示する先進的なモデルケースとなり得るだろう。