AIカフェロボット「root C(ルートシー)」の開発等で知られる株式会社New Innovationsは、同社が開発したかき氷の全自動調理ロボット「Kakigori Maker」を、株式会社プロントコーポレーションが運営する「和カフェ Tsumugi ららぽーと安城店」に新たに導入したと発表した。この店舗は東海エリア初出店であり、「Kakigori Maker」にとっても東海エリアで初めての導入事例。かき氷調理の自動化により、商品の品質安定と業務効率化、そして調理トレーニング時間の短縮を目指す。(文=RoboStep編集部)
(引用元:PR TIMES)
プロントコーポレーションは、今回の「Kakigori Maker」導入の目的として、商品の品質安定、業務効率化、そして調理トレーニング時間の短縮を挙げている。これらを通じて、顧客へのさらなるサービス向上を目指す考えで、今後も設置店舗を拡大する予定だという。
「Kakigori Maker」は、かき氷機と自動連動することで調理の手間とコストを大幅に削減する全自動調理ロボットだ。その大きな特徴は、ビジョンシステムを通じて氷の盛り加減をリアルタイムに制御できる点にある。これにより、気温や湿度、氷の密度といった外部環境に左右されることなく、常に一定の美しい盛り具合のかき氷を提供することが可能となる。
従来、手作業によるかき氷調理では、氷を削る時間が調理工程の大半を占めるにもかかわらず、その間はほかの作業に従事できないという課題があった。特に、多くのかき氷を提供する必要がある店舗では、これが業務効率化の大きな壁となっていた。また、作業者によって氷の盛り方にばらつきが生じやすく、商品の品質を一定に保つことが難しいという問題も抱えていた。「Kakigori Maker」は、これらの課題を解決し、均質化された商品の提供と調理時間の削減に貢献する。
「Kakigori Maker」の導入は、専門的な調理技術が求められる分野においても、ロボットによる自動化が進展していることを示す象徴的な事例だ。単に食材を加工するだけでなく、かき氷のように見た目の美しさや食感の繊細さが重視されるデザート調理をロボットが高い品質を維持しつつ担えることは、熟練の技や感覚が必要とされてきた調理分野へのロボット参入が今後さらに拡大していく可能性を示唆している。
(引用元:PR TIMES)
ロボットによる商品の品質安定化と業務効率化は、飲食店経営に直接的なインパクトを与えるだろう。スタッフ間の技術差を排除し、常に一定品質の商品を提供できることは、顧客満足度を高め、ひいてはブランドの信頼性向上に直結する。また、調理時間の短縮と作業の自動化は、スタッフの業務負荷を大幅に軽減し、より多くの顧客への対応やほかの高付加価値な業務へリソースを振り分けることを可能にする。これは、特に人手不足が深刻化する飲食業界において、少ない人数でも高品質なサービスを提供し続けるための有効な手段となるはずだ。
さらに、調理トレーニング時間の短縮というメリットも見逃せない。従来、習熟に時間を要した専門的な調理技術をロボットが代替することで、新人スタッフでも比較的短期間で戦力化できる。これは、多店舗展開を目指すチェーン店などにとって、新規出店時のスタッフ教育コストの削減と、店舗運営の早期安定化に大きく貢献する要素だ。
New Innovationsはスマートコーヒースタンド「root C」に続き、この「Kakigori Maker」、そしてハンバーガーの全自動調理ロボット「Burger Cooker」など、多様な調理ロボットの開発を進めてきた。この動きは、飲食店の各調理プロセスをモジュール化し、それぞれに最適化されたロボットソリューションを提供することで、店舗運営全体の自動化・効率化を推進しようとする同社の戦略を反映している。
将来的には、これらの調理ロボットが相互に連携し、食材の発注から調理、提供、さらには販売データの分析までを統合的に管理する、より高度な「スマートキッチン」の実現も期待される。「Kakigori Maker」のような専門調理ロボットの普及は、飲食業界における新たなビジネスモデルの創出や、これまでにない顧客体験の向上に繋がり、業界全体のDXを力強く加速させる一翼を担うだろう。