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2025.06.20

楽天、自動配送ロボを強化!新ロボット導入で晴海エリアの無人配送サービスが進化

楽天グループが展開する自動配送ロボットサービス「楽天無人配送」が、新たなロボット導入と対象エリア・店舗の拡大によりサービスを拡充している。米国Avride社のロボットを新たに採用し、配送体制を強化することで、人手不足が課題の物流業界に変革をもたらす。(文=RoboStep編集部)

楽天、米Avrideロボ導入で配送サービス体制を強化


(引用元:楽天

楽天グループが東京都中央区晴海周辺で提供する自動配送ロボットによる商品配送サービス「楽天無人配送」が、新たな局面を迎えている。2024年11月のサービス開始以来、スターバックスや吉野家、スーパーマーケット文化堂といった店舗の商品を、対象地域内の指定場所へ夜間や雨天時を問わず日々配送してきた。2025年2月には、新たにケーキ店「パティスリーハット」やコンビニエンスストア「ファミリーマート 晴海センタービル店」が対象に加わり、サービス対象店舗と地域の範囲を着実に拡大。注文時に指定できるお届け場所も90カ所を超えるなど、利便性を高めている。

このサービス拡充の大きな柱となるのが、新型自動配送ロボットの導入だ。従来のロボットに加え、2025年2月27日より、米国で自動配送ロボットを展開するAvride inc.(以下、Avride)製のロボットが新たに稼働を開始した。Avrideのロボットが日本でサービスに利用されるのはこれが初めてのケースであり、楽天は順次10台まで増やす計画だ。


(引用元:楽天

Avrideは世界各地に研究開発拠点を持ち、自動配送ロボットや自動運転車に関する高度な技術と豊富な運用実績を誇る。同社のロボットは、先進的な自動運転技術と多様なセンサー、アルゴリズムを搭載し、公道のような複雑な環境下でも効率的かつ安全な自律走行が可能だ。実際に米国では多数の機体が商用利用されており、その信頼性は高い。日本国内においても、Avrideのロボットは2024年12月に一般社団法人ロボットデリバリー協会の安全基準に基づく審査に合格している。

ロボットの種類や機体数の増加に対応するため、楽天は独自開発の配送管理システムも改良した。注文内容や配送状況に応じて最適なロボットを自動で割り当てる機能などが強化され、より効率的な運用体制を構築。さらに、経済産業省の補助事業を活用し、自動配送ロボット10台体制によるサービス提供の実証実験も行い、今後の本格展開に向けた準備を進めている。

実用化フェーズへ、楽天ロボ配送が生活を変える

日本の配送業界では、ドライバー不足や労働時間の制約など、人手不足が深刻な社会課題となっている。こうした背景から、無人の配送ソリューションに対する需要は急速に高まっている。楽天の執行役員 インキュベーション事業 ヴァイスプレジデントである向井秀明氏は、「楽天無人配送もサービス開始から多くのお客様にご利用いただいており、今後のさらなるサービス拡充に向けて、Avrideと協業できることを嬉しく思います」とコメントしており、市場の期待に応える形でサービスを強化していく姿勢を示している。


(引用元:楽天

今回のサービス拡充は、単なる実証実験の段階を超え、自動配送ロボットが日常的なインフラとして定着し、拡大していく可能性を感じさせるものだ。ケーキ店やコンビニエンスストアといった、より多様できめ細やかな配送ニーズが想定される業態が対象に加わったことは、ロボット配送の汎用性の高さを示す。また、夜間や雨天時を含めた安定的なサービス提供は、利用者の信頼を獲得し、生活に不可欠なサービスへと進化していく上で重要な要素となるだろう。

ロボットを提供するAvrideも、日本市場への参入に大きな期待を寄せている。同社のグローバルコマーシャルディレクターであるToby Snuggs氏は、「楽天と協業して当社の技術を日本に初めて導入できることを大変嬉しく思います。当社は自動配送ロボットの導入により、物流の革新を進めながら日本社会における利便性向上に貢献できるよう努めてまいります」と述べている。グローバルで実績のあるロボット技術が、日本の社会課題解決と新たな価値創出に貢献することが期待される。

楽天は今後も、より多くの人々が自動配送ロボットによる安心・安全で利便性の高いサービスを享受できるよう、サービスの拡充を継続していく方針だ。晴海周辺での取り組みを足掛かりに、将来的には他の地域への展開も視野に入れていることだろう。自動配送ロボットは、物流のラストワンマイルを革新し、人々の生活をより豊かにするキーテクノロジーとして、その社会実装を加速させていくに違いない。