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2025.06.26

万博で賑わう夢洲駅、AIを活用したヒューマノイドロボットが多言語対応で活躍中!

Osaka MetroがNTT西日本グループなどと連携し、対話・案内ロボット「ugo」を大阪・関西万博の玄関口である夢洲駅に設置。生成AI「tsuzumi」などを活用した社会実験を継続している。前回の実験で得た知見を基に改良された「ugo」が、万博に訪れる国内外の多くの来訪者に対し、多言語での案内サービスを提供している。(文=RoboStep編集部)

夢洲駅で実践投入、改良型「ugo」の実力

大阪・関西万博の主要アクセス駅として多くの来訪者で賑わうOsaka Metro中央線夢洲駅で、多言語対応の対話・案内ロボット「ugo」が活躍している。これはOsaka Metro、NTT西日本グループ、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、そしてロボット開発を手掛けるugo株式会社が連携して進める社会実験の一環だ。2025年4月4日から開始されたこの取り組みは、万博という国際的な舞台で、ロボットとAIを活用した新しい形の駅案内サービスの可能性を追求するものだ。

(引用元:Osaka Metro

この夢洲駅での社会実験は、2025年1月から3月にかけてOsaka Metro御堂筋線梅田駅構内で行われた先行実験の成果と課題を踏まえて実施されている。梅田駅では、ポップアップ型販売店舗前に設置された「ugo」が6,000件を超える応対を行い、一定の利用が確認された。その一方で、「駅構内放送に反応してしまう」「顧客のリクエストへの対応品質向上」といった、実際の駅環境ならではの課題も浮き彫りになった。夢洲駅で稼働する「ugo」は、これらのフィードバックを基にバージョンアップが施されており、より実用性を高めた改良型として、日々多くの乗降客とコミュニケーションをとっている。

今回の社会実験では、特にNTTが開発した大規模言語モデル「tsuzumi」をはじめとする複数の生成AIを駆使し、「ugo」がどれだけ自然で高精度な多言語対話(日本語、英語、中国語、韓国語に対応)を行えるかが検証されている。ロボットは定期的に発話し、駅利用者に挨拶や声かけを行うほか、利用者からの質問に対しては、その言語に合わせて案内や回答を提供する。多くの人々が行き交い、さまざまな言語が飛び交う万博の玄関口というリアルな環境下で、案内ロボットとして「ugo」が適切かつ効果的に機能するかが試されているのだ。

駅サービスの革新へ、ロボットとAIが示す可能性


(引用元:Osaka Metro

この社会実験は、単に新しい技術を試すだけに留まらない。関係各社は、それぞれの立場から、より大きな目標達成に向けた重要なステップと位置づけている。NTT西日本グループ、NTT Com、そしてugo社は、ロボットと生成AIを高度に組み合わせることで、深刻化する人手不足という社会課題の解決に貢献するソリューション開発を目指す。一方、実証フィールドを提供するOsaka Metroは、実際の駅利用者からの反応や行動の変化を詳細に調査・分析し、将来的な人手不足の解消と、より質の高いサービス提供を両立させる新たな駅運営モデルの確立を狙う。

この取り組みは、Osaka Metroが推進する「Osaka Metro 109駅サービス拠点化プロジェクト」とも深く連携している。同プロジェクトは、駅を単なる移動のための通過点ではなく、日常的な利便性や新たな発見、そして「いざという時に役立つ」価値を提供するサービス拠点へと変革することを目指すものだ。「ugo」による先進的な案内サービスは、まさにこのプロジェクトが掲げる「駅で新たな発見を!」「駅にあって良かった!」を体現する試みと言えるだろう。

大阪・関西万博という国際的なイベントの舞台で展開されるこのロボット活用事例は、今後の駅サービスが向かうべき方向性を示唆している。多言語対応可能なAI案内ロボットは、増加するインバウンド観光客への対応力を飛躍的に向上させる。また、24時間稼働可能なロボットは、早朝深夜の案内サービスの質の維持にも貢献するだろう。将来的には、人とロボットがそれぞれの得意分野を活かして協働し、よりスムーズで快適な移動体験を提供する、新しい交通インフラのサービスモデルが構築されていくことが期待される。夢洲駅で活躍する「ugo」の姿は、そんな未来の駅の姿を垣間見せてくれているのかもしれない。