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2025.06.23

働き手不足解消へ一手!警備ロボット「SQ-2」、公道性の高い外構部巡回を開始

SEQSENSE社の自律移動型警備ロボット「SQ-2」が、東京オペラシティビルにて本格稼働を開始した。ALSOK東京の協力のもと、深刻化する働き手不足に対応し、人とロボットが連携した効率的かつ高度な警備体制の実現を目指す。(文=RoboStep編集部)

東京オペラシティ、「SQ-2」で警備高度化

SEQSENSE株式会社は、ALSOK東京株式会社の協力・運用のもと、2025年4月1日より東京オペラシティビルにて自律移動型警備ロボット「SQ-2」の本格稼働を開始した。


(引用元:SEQSENSE

この取り組みは、警備業界が直面する深刻な働き手不足という課題に対応し、警備業務の効率化と高度化を両立させることを目的としている。「SQ-2」の活用により、警備員の業務負担を軽減しつつ、施設全体の警備体制を強化することが期待される。

「SQ-2」は東京オペラシティビルにおいて、日中および夜間の巡回警備、特定の場所での立哨業務、さらには来訪者への各種案内に至るまで、多岐にわたる業務を担う。巡回範囲は、ビル内の商業フロアや半屋外エリアを含む地下1階から3階までに及ぶ。警備員は操作用PCから任意のタイミングで巡回開始を指示でき、ロボットは指定されたポイントを自律的に移動して警備を行う。


(引用元:SEQSENSE

特筆すべきは、今回の本格稼働において「SQ-2」が建物外構部の巡回も行う点だ。SEQSENSEは警察当局との協議と厳格な審査を経て、東京オペラシティビルの外構部(有効空地)のうち、警察当局が「公道性が高い」と認定したエリアでの自律走行認可を取得した。

これにより、夜間には人の目が行き届きにくい建物外周部の巡回が可能となり、異常の早期発見や不審者に対する抑止効果が一層高まる。この夜間の外構部巡回に「SQ-2」が活用されるのは、東京オペラシティビルが初の試みであり、人とロボットの巡回を組み合わせることで、より高度で効率的な警備体制の実現を目指す。

また、立哨業務においては、朝の出勤時間帯にオフィスフロアのエレベーターホールで「SQ-2」が活躍する。「SQ-2」には、人が近づくと事前に設定した音声アナウンスを再生する「声かけ再生」機能が搭載されており、この機能を利用してエレベーター利用者の列形成を促し、スムーズな乗降を誘導する。

京都でも実証実験、広がる「SQ-2」の社会実装

東京オペラシティビルでの本格稼働に続き、「SQ-2」の社会実装はほかの大規模施設へも広がりを見せている。JR西日本京都SC開発株式会社とSEQSENSEは、京都駅直結の商業施設「京都ポルタ」にて、2025年4月27日から7月31日までの期間、「SQ-2」を用いた警備機能強化のための実証実験を実施中だ。


(引用元:JR西日本

この実証実験は、将来的な人材不足への対応を視野に入れ、館内を自律的に巡回および立哨可能な「SQ-2」を導入し、警備ロボットと有人警備業務との効果的な連携体制を構築することを目的としている。特に、多くの来客が見込まれる2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催期間中においても、京都ポルタ全体の警備体制を維持し、自動化と生産性向上を進めることで、顧客に「安心・安全」に関するより質の高いサービスを提供することを目指すという。駅直結という不特定多数の人が行き交う大規模商業施設での長期的な実証実験は、「SQ-2」の多様な環境への適応能力と実用性を検証する上で重要なステップとなる。

SEQSENSEは「世界を変えない。」というミッションを掲げ、深刻化する働き手不足の解決策として、実務利用できるロボットの社会実装を推進している。東京オペラシティビルでの本格稼働や京都ポルタでの実証実験は、そのミッションを具現化する重要な一歩であり、今後も警備ロボットがさまざまな現場で活躍し、社会課題の解決に貢献していくことが期待される。