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2025.04.18

無人警備が変える企業の安全管理 〜警備ロボットの実力と導入のヒント〜

警備業界では深刻な人手不足が続いています。有効求人倍率が6.58倍と全業種平均を大きく上回る深刻な状況が続いています。※(出展:警備ドットコム 主な原因は、低い給与水準や不規則な勤務形態、体力的な負担の大きさなどが挙げられます。夜間や休日の警備は人件費が高騰する上、疲労や気分の変化により、常に一定の品質を保つことが難しいという課題もあります。24時間365日の警備体制を維持することは、人員確保の面でもコストの面でも難しい面が多いということです。

こうした中新たな解決策として、高機能カメラやセンサー、画像認識AIを搭載した警備ロボットが注目されています。

警備ロボットの3つの基本タイプ

警備ロボットには大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれに特徴的な機能と活用シーンがあります。導入を検討する際は、自社の警備ニーズに合わせて最適なタイプを選択することが重要です。

自律巡回型

中野セントラルパーク サウスにて運用中のSQ-2(引用元:SEQSENSE株式会社

自律巡回型は、プログラムされたルートに従って施設内を巡回する最も一般的な警備ロボットです。高性能カメラとセンサーを搭載し、不審者や異常を自動で検知することができます。また、4〜8時間程度の連続稼働が可能で、バッテリー残量が少なくなると自動で充電ステーションに戻る機能を持っています。複数台を組み合わせることで、24時間体制の警備も実現可能です。特に夜間や休日など、人員配置が難しい時間帯での活用が期待されています。

ドローン型

セコムドローンXX(引用元:セコム株式会社

ドローン型は、空からの監視により、従来の地上警備では対応が難しかった範囲もカバーできる新しいタイプの警備ロボットです。時速10〜50kmでの飛行が可能で、不審者の追跡や広大な敷地の監視に威力を発揮します。連続飛行時間は数十分程度と短いものの、自動充電システムを活用することで継続的な監視が可能です。工場や倉庫など、広大な敷地を持つ施設での導入が進んでいます。

遠隔操作型

(引用元:ugo

遠隔操作型は、オペレーターが状況に応じて操作できる、より柔軟な対応が可能な警備ロボットです。カメラやセンサーからの情報をもとに、人間が遠隔で操作することで、複雑な状況判断が必要な場面でも適切な対応が可能です。危険物の処理や緊急時の対応など、高度な判断が求められる場面で活躍します。ただし、1台につき1人のオペレーターが必要となるため、人件費の削減効果は限定的です。

警備ロボット活用の現状と課題

虎ノ門ヒルズ ステーションタワーにて運用中のSQ-2(引用元:PR TIMES

警備業界でのロボット活用は着実に進んでいます。技術の進歩により、従来は人でしか対応できないと考えられていた業務の一部を、ロボットが担えるようになってきました。一方で、導入にあたってはいくつかの課題も見えてきています。

活躍が期待される導入シーン

大規模商業施設や工場、データセンターなど、24時間体制での警備が必要な施設での導入が進んでいます。特に夜間の定期巡回や、人が立ち入りにくい危険区域の監視において、その効果を発揮しています。また、画像認識AIの進化により、不審者の検知や異常の早期発見なども可能になってきました。施設の規模や用途に応じて、複数のタイプのロボットを組み合わせることで、より効果的な警備体制を構築できます。

現時点での限界と課題

技術の進歩により警備ロボットの機能は日々向上していますが、まだいくつかの課題も存在します。予期せぬ事態への対応や、複雑な状況判断では人間の警備員にはまだ及びません。また、機械である以上、故障や不具合のリスクも考慮する必要があります。現時点では、警備ロボットと人間の警備員を適切に組み合わせ、それぞれの長所を活かした体制づくりが求められています。

警備ロボット導入のポイント

ALSOK警備ロボット「REBORG-Z」(引用元:綜合警備保障株式会社

警備ロボットの導入を成功させるためには、自社のニーズに合った機種選定と、適切な運用体制の構築が不可欠です。初期投資を抑えながら最大限の効果を得るために、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

必要な機能を見極める

警備ロボットの機能は多岐にわたりますが、必要以上に高機能な機種を選ぶとコストが増大してしまいます。施設の規模や警備の目的、必要な監視範囲などを明確にし、本当に必要な機能を見極めることが重要です。また、将来的な拡張性も考慮に入れ、システムのアップデートや機能追加が可能な機種を選択するのがおすすめです。

運用面での注意点

警備ロボットの効果を最大限に引き出すためには、適切な運用体制の構築が不可欠です。定期的なメンテナンスや、充電ステーションの適切な配置、緊急時の対応手順の整備など、きめ細かな準備が必要です。また、警備員との連携方法や役割分担を明確にし、円滑な運用を実現することが重要です。

企業の競争力を高める警備ロボットの可能性

人手不足対策としてだけでなく、警備品質の向上や業務効率化のツールとして、警備ロボットへの期待は高まっています。自社にマッチした警備ロボットを導入することで、24時間体制の安定した警備品質の実現や、データに基づく警備体制の最適化など、これまでにない価値を生み出すことができるでしょう。

今後、AIやセンサー技術の更なる進化により、その可能性はさらに広がっていくはずです。警備という重要な業務において、人とロボットの最適な組み合わせを見出すことが、これからの企業には求められています。