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2025.02.14

ロボットの3大構成要素「センサー」「知能・制御系」「駆動系」をおさらい!

ロボットは一見複雑な機械に見えますが、実は「センサー」「知能・制御系」「駆動系」という3つの基本要素で構成されています。これらの要素は、それぞれ人間の感覚器官、脳、筋肉に相当し、互いに連携することでロボットとしての機能を実現します。

ロボットを構成するこれら3つの要素について、まとめて解説します。これまでの各要素技術をまとめた記事と併せてお読みください。

欠かせないロボットの感覚器官「センサー技術」について知る

改めてロボットの「機械学習」について知る――「考えて動く」現代のロボット

アクチュエータとは?ロボットや機械の「筋肉」として活躍する動力装置について解説

センサーとは

引用元:TE Connectivity

センサーとは、ロボットが外部の情報や自身の状態を検知するための「感覚器官」です。大きく分けて、外界センサーと内界センサーの2種類があります。

外界センサーとは

外界センサーは、ロボットの外部の情報を取得するためのセンサーです。人間の五感のように、周囲の状況を認識する役割を果たします。例えば、物体までの距離を測る距離センサーは、超音波を使って物体までの距離を正確に測定します。また、カメラセンサーは人間の目のように映像を捉え、画像処理技術と組み合わせることで、物体の形や色を認識することができます。

工場の製造ラインでは、このカメラセンサーを使って製品の外観検査や位置決めを行っています。その他にも、物体に触れたことを検知するタッチセンサーや、音を認識するマイクなど、目的に応じて様々な種類のセンサーが使用されています。最近は、人間の目では見分けられないような微細な傷や変形も検出できる高性能なセンサーも開発されており、品質管理の精度向上に貢献しています。

内界センサーとは

内界センサーは、ロボット自身の状態を知るためのセンサーです。人間の筋肉感覚や平衡感覚に相当する重要な役割を果たします。最も代表的なのが、機械の動きを電気信号に変換するエンコーダーです。エンコーダーは、モーターの回転角度や直線的な動きの距離を電気信号として検出します。この信号によって、ロボットアームがどの位置にあるのか、どのくらいの速さで動いているのかを正確に把握することができます。

また、ロボットの傾きを検知する姿勢センサーは、特に移動ロボットにおいて重要です。例えば、自律移動ロボットが安定して走行するためには、常に自身の姿勢を把握している必要があります。さらに、モーターの温度を監視する温度センサーや、各部にかかる力を測定する力覚センサーなども、ロボットの安全な動作を確保するために重要な役割を果たしています。

知能・制御系とは

引用元:スペースブロック

知能・制御系は、ロボットの「頭脳」となる部分です。センサーから得た情報を処理し、どのように動くべきかを判断して指令を出します。

コンピュータの種類と役割

知能・制御系の中心となるのは、パソコンやマイコン(マイクロコンピュータ)です。パソコンは機能の追加が容易で、プログラムの変更も簡単にできるため、開発段階でよく使用されます。例えば、新しいロボットを開発する際は、まずパソコンで制御プログラムを作成し、動作の確認や調整を行います。

一方、マイコンは小型で電力消費が少なく、必要最小限の機能に絞ることでコストを抑えられるため、量産時に適しています。製品として出荷されるロボットの多くは、このマイコンを採用しています。近年は高性能なマイコンも増えており、パソコンに近い処理能力を持つものも登場しています。


ソフトウェアの重要性

ロボットの頭脳となる知能・制御系は、「ハードウェア」と「ソフトウェア」の2つで成り立っています。ハードウェアがコンピュータ本体だとすると、ソフトウェアはそれを動かす指示を与えるものです。

センサーが捉えた情報を理解し、それに基づいて適切な動作を判断する。この「考える」部分を担うのがソフトウェアです。例えば、カメラで捉えた映像から必要な情報を読み取り、モーターをどのように動かすべきか判断する。このように、ロボットの「考える力」を決定づける重要な要素となっています。

最近では人工知能(AI)の技術も加わり、より高度な判断や状況への対応が可能になってきています。ロボットの性能は、このソフトウェアの進化によって大きく向上しているのです。

駆動系とは

引用元:下西技研工業

駆動系は、ロボットの「筋肉」に当たる部分です。知能・制御系からの指令を受けて、実際に動作を行う機構です。

アクチュエータについて

アクチュエータは動力を生み出す装置で、主に電動モーター、油圧、空気圧の3種類があります。

電動モーターは最も一般的で、精密な制御が可能です。特に、位置や速度を正確に制御できるサーボモーターは、産業用ロボットで広く使用されています。油圧は建設機械のように大きな力が必要な場面で使用され、空気圧は柔軟な動きが必要な場面、例えば人と協働するロボットなどで活用されています。

各アクチュエータには一長一短があり、用途に応じて使い分けが必要です。例えば、精密な組立作業には電動モーター、重量物の搬送には油圧、繊細な物の把持には空気圧というように、目的に合わせて最適なものを選択します。

動力伝達の仕組み

アクチュエータの力を目的の動作に変換するのが、動力伝達機構です。例えば、モーターの回転を遅くして力強い動きに変える「減速機」は、自転車のギアのような仕組みで、小さなモーターでも大きな力を出せるようにします。また、回転運動を直線運動に変える「ボールネジ」は、工作機械やロボットアームの直線的な動きを実現します。

これらの機構は、アクチュエータの特性を最大限に活かすために重要な役割を果たします。例えば、高速で回転するモーターの動きを、ゆっくりと力強い動きに変換することで、精密な位置決めや重い物の持ち上げが可能になります。

より賢く、より繊細に:進化を続けるロボットの3要素

ロボットの3要素は、それぞれ着実な進化を続けています。センサーの精度向上、AIによる制御の高度化、新しい動力装置の開発など、技術革新が進んでいます。特に、人との協調作業を実現する協働ロボットなどでは、3要素の連携がより重要になっています。これらの技術は、人間の感覚・判断・動作により近い性能を目指して、日々進化を続けているのです。