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2025.01.14

外骨格ロボットとは?人の動作を支援する“装着型ロボット”について解説

人の動きを支援する外骨格ロボットの活用が、さまざまな分野で広がっています。医療分野では脳卒中や脊髄損傷によって運動機能が低下した患者のリハビリテーションを支援し、製造現場では作業者の腰や関節への負担を軽減。介護の現場でも、介護する側・される側双方の身体的負担を減らす新しいソリューションとして注目を集めています。

「人とロボットの協調」という新しい可能性を切り開く外骨格ロボットは、高齢化や人手不足という社会課題の解決にも貢献すると期待されています。本記事では、外骨格ロボットの基本的な仕組みから具体的な活用方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。

人の動きを支援する装着型ロボット

引用元:レイボ

人間の筋肉や関節の動きを補助する外骨格ロボット。その基本的な構造や仕組みを理解することは、活用を検討する上で重要な第一歩となります。ここでは、外骨格ロボットの定義から基本的な構造、動作の仕組みまでを見ていきましょう。

外骨格ロボットとは何か

外骨格ロボットとは、人体に装着して動作を補助・保護する体外装着機器です。装着者の体の動きを検知するセンサーと、その動きをサポートするモーターを組み合わせることで、装着者の意図に沿った自然な動作をアシストします。

最新の外骨格ロボットには、動作の正確さを保つためのフィードバック機構が備わっており、装着者の意図した動きを精密に再現することができます。装置全体は軽量かつ堅牢なフレームで構成され、長時間の使用を可能にするバッテリーシステムを備えています。

外骨格ロボットの仕組み

外骨格ロボットの基本的な仕組みは、人間の筋肉と骨格の働きになぞらえて作られています。動力源には小型の電気モーターを使用し、これに力を増幅する装置(ギアボックス)を組み合わせることで必要な力を生み出します。モーターの動きは各種センサーとコンピューターによって精密に制御され、人体の自然な動きに近い動作を実現しています。

これらの機構は人体の動きに合わせて設計された骨格のような外装の中に収められており、装着者の負担を最小限に抑えながら必要な支援を提供します。

なぜ今、外骨格ロボットが注目されているのか

引用元:蔵場

高齢化による労働力不足、介護負担の増加、リハビリテーションの高度化など、私たちを取り巻く環境の変化とともに、外骨格ロボットへの期待が高まっています。従来は人が直接行っていた作業や、人の手では難しかったサポートを、外骨格ロボットが補完できるようになってきました。

さらに、技術革新による小型化・軽量化の実現や導入コストの低下により、実用化の場面が着実に広がっています。特に医療・介護分野での人手不足解消や、製造現場での作業者の身体的負担軽減において、その効果が期待されています。

外骨格ロボットの主な活用分野

引用元:Wandercraft

外骨格ロボットの活用は、医療・福祉から産業分野まで幅広く広がっています。それぞれの分野で独自の活用方法が確立されつつあり、具体的な成果も報告されています。

医療・リハビリ分野での活用

医療分野では、主に運動機能の回復を目的としたリハビリテーションで活用されています。外骨格ロボットを使用することで、正確な動作パターンを維持・再現でき、リハビリ効果を定量的に測定・評価することが可能になりました。

また、患者の意欲向上にもつながり、早期回復を支援する新しいツールとして注目を集めています。同時に、理学療法士の身体的負担も大きく軽減されることで、より質の高いリハビリテーションの提供が可能になっています。

介護・福祉分野での活用

介護現場では、介護する側・される側双方の負担軽減に貢献しています。特に移乗介助時の介護者の腰部負担を軽減し、被介護者の自立支援にも役立っています。これにより介護の質が向上するだけでなく、介護者の労働環境も大きく改善されています。外骨格ロボットの導入により、介護現場での作業が標準化され、より効率的なケアの提供が可能になってきています。

製造・物流分野での活用

製造・物流現場では、作業者の身体的負担を軽減し、作業効率の向上を実現しています。重量物を扱う作業や長時間の立ち作業において、作業者の腰部への負担を大幅に軽減することができます。また、繰り返し作業による疲労も軽減され、作業品質の安定化にもつながっています。

外骨格ロボット導入のポイントと課題

外骨格ロボットの導入を検討する際は、まず実務面での準備が重要になります。どのような目的で使用するのか、誰が装着するのかを明確にした上で、適切な機種を選定する必要があります。また、作業内容に応じた動作範囲の確保や、バッテリーの稼働時間を考慮した充電環境の整備なども欠かせません。さらに、安全な運用のためのルール作りやメンテナンス体制の構築も、導入前に検討しておくべき重要な事項です。

一方、技術面ではいくつかの課題が残されています。特に以下の点が、現在の外骨格ロボットが抱える主な技術的課題として挙げられます。

装置の軽量化

バッテリー持続時間の延長

導入コストの低減

より直感的な操作方法の実現

これらの課題に対しては、新素材の採用や制御技術の向上、生産効率の改善などを通じて、着実に解決が図られています。特に安全性に関する技術革新は目覚ましく、転倒防止機能の強化など、装着者の安全を確保するための機能は日々進化を続けています。

より自然な動きの実現へ:進化を続ける外骨格ロボット技術

外骨格ロボットは、AI技術の発展や新素材の開発により、より自然で違和感のない動きの実現に向けて進化を続けています。装着者の動作意図をより正確に読み取る技術や、より軽量で強度の高い材料の採用により、使用感は着実に向上しています。

さらなる小型軽量化や長時間稼働の実現、より直感的な操作性の実現など、実用性を高める開発が進むことで、私たちの暮らしやビジネスにより身近な存在となっていくことでしょう。外骨格ロボットは、人とロボットの新しい関係性を築く重要な技術として、さらなる発展が期待されています。