1. RoboStep TOP
  2. ロボット業界の今を学ぶ
  3. 万博でアバターロボが活躍!遠隔地のオペレーターが多言語に対応

2025.09.08

万博でアバターロボが活躍!遠隔地のオペレーターが多言語に対応


(引用元:PR TIMES

ANAホールディングス発のスタートアップであるavatarin株式会社と名古屋外国語大学は、2025年8月18日から24日にかけて、大阪・関西万博「未来社会ショーケース事業スマートモビリティ万博『ロボットエクスペリエンス』」内の愛知県ブースにて、アバターロボット「newme(ニューミー)」を用いた遠隔案内業務を実施した。

「AICHI Robot Friendly Café」と題された愛知県ブースには3台のnewmeが設置され、遠隔地にいるオペレーターが操作。来場者を各展示エリアへ案内したり、ロボット展示の説明をしたりといった多言語対応によるコミュニケーションを行った。


(引用元:PR TIMES

この取り組みの大きな特徴は、そのユニークな遠隔操作体制にある。初日の8月18日には、名古屋外国語大学で国際教養を学ぶ学生たちが、名古屋市にあるスタートアップ支援拠点「STATION Ai」からオペレーターとしてnewmeを操作。自らの語学スキルを活かし、国際色豊かな万博の来場者に向けた案内を実践した。2日目以降は、東京・日本橋にあるavatarinのオフィスから継続的な運用が行われた。

「newme」は、操作者の顔をディスプレイに表示しながら現地を移動し、まるでその場にいるかのような自然な対話を実現するアバターロボットだ。今回の実証は単なる技術展示に留まらず、来場者とのリアルなインタラクションを通じて、最先端テクノロジーと社会が共創する未来像を体験できる場として提供された。

アバターで実現する遠隔コミュニケーションと新たな働き方

今回の万博での取り組みは、アバター技術が教育と国際交流にどのような新しい価値をもたらすかを示している。

まず、学生がオペレーターを担うことには二重の教育的価値がある。学生にとっては、教室で学んだ語学スキルを万博という国際的な大舞台で実践する、またとない機会だ。多様な国籍の来場者と実際にコミュニケーションをとる経験は、異文化理解を深め、グローバル社会で通用する実践的な能力を養うだろう。一方、来場者にとっては、年齢の近い学生がアバターを通じて案内することで、先端技術に対する心理的なハードルが下がり、より親しみやすい体験となるはずだ。

名古屋のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」から大阪の万博会場のロボットを遠隔操作したという点も象徴的だ。これは、地域のイノベーション拠点で育まれたアイデアや人材が、物理的な距離の壁を越えて世界的な舞台で活躍できることを示している。

愛知県が提唱する「ロボットインクルーシブ」な社会という理念も、この取り組みによって具体化された。これは単にロボットを導入するだけでなく、ロボットが人に寄り添い、協働することで誰もが活躍できる社会を目指すという考え方だ。今回アバターロボットは、学生の「学びたい」という意欲と、外国人来場者の「知りたい」というニーズを繋ぐ「優しいインターフェース」として機能したと言える。

今回の事例は、教育、観光、国際交流といった多様な分野で、アバターがいかに「人の能力を拡張」し、新しい価値を創造できるかを示す好例だ。万博での実証を通じて得られたこの知見は、場所に縛られない新しい働き方や、言語の壁を越えたコミュニケーションが当たり前になる社会の実現に向けた重要な一歩となるだろう。