2024年10月、一般財団法人日本規格協会は、鉱工業(ロボット)の技術に関する用語のJISの改正版を発行した。今回の改正では、ロボット技術の発展に伴う新しい用語の追加や修正、サービスや医療分野への対応強化を目的としている。改正のポイントとは? (文=RoboStep編集部)
一般財団法人日本規格協会は、1945年12月に、標準化および管理技術の開発、普及、啓発などを目的に設立された、一般財団法人日本規格協会を中核とするグループだ。日本における総合的標準化機関として、JIS、国際規格(ISO・IEC規格)、JSA規格の開発、JIS規格票の発行と販売、国際規格・海外規格の頒布、ISO 9001やISO 14001をはじめとする各種マネジメントシステムの審査登録、品質管理検定(QC検定)といった多様な事業に取り組んでいる。
今回、2024年10月に発行されたのは、鉱工業(ロボット)の技術に関する用語のJISの改正版だ。この規格は、ロボティクスに関する用語を規定したもの。今回の改正では、ロボット技術の発展に伴う新しい用語の追加や修正、サービスや医療分野への対応強化を目的としているという。
JIS B 0134:2024ロボティクス-用語 Robotics-Vocabulary税込価格:3,300円 A4判 20頁
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同時に、産業用ロボットの形態や性能に関する用語のうち、使われなくなったものが除外された。ロボットの設計、製造及び応用に関する科学及び実践であるロボティクスの用語を整理し、定義しているとともに、ロボティクスの技術分野ごとに分類し、一般的に用いる用語を定義し、説明している。
例えば、ロボット関連のキーワードを紹介する。
●産業用ロボット…主に製造業などの工場で、自動化や作業の効率化のために使用される。(例)垂直多関節ロボット・パラレルロボット
●サービスロボット…主に一般家庭や、商業施設での人間の動作へのサポートやサービスの提供に使用される。(例)配膳ロボット等
●協働…協働運転や協働ロボットをまとめた概念として“協働”と定義されている。※今回の改正で新たに追加された用語
●ロボット言語…ロボットを動かすためのプログラミング言語
1970年代、日本における産業用ロボットの急速な発展と普及が始まった。1974年から1977年までの4年間、社団法人産業用ロボット工業会(当時)は、通商産業省工業技術院(当時)の委託を受けて調査研究を行い、その成果に基づいて、1979年2月に世界に先駆けてJIS B 0134:1979(産業用ロボット用語)が制定された。
国際的には、1988年にISO/TR 8373がまとめられ、1994年にはISO 8373:1994(Manipulating industrial robots-Vocabulary)が制定された。その後も、産業用だけでなくサービス用ロボットの普及に伴い、ISO 8373:2012(Robots and robotic devices-Vocabulary)に改訂されている。
また、ISO(国際標準化機構)においてもロボット関連規格が整備され、現在ではISO 8373:2021(Robotics-Vocabulary)が主要なロボットの用語規格として扱われている。日本国内でも、ISO 規格との整合化を図るべく、JIS B 0134:1998(産業用マニピュレーティングロボット-用語)として改正、さらに、ISO 8373:2012 の改訂内容を取り込んで、JIS B 0134:2015として改正された後、現在に至る。
その他のロボティクス関連用語規格としては、JIS B 0185(知能ロボット-用語)、JIS B 0186(移動ロボット-用語)及び JIS B 0187(サービスロボット-用語)があります。今回改正された「JIS B 0134:2024」は、「ISO 8373:2021」の一致(IDT)規格となっている。