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2025.07.02

一風堂新店に調理ロボット導入、排気設備フリーで厨房革命へ

調理ロボットの開発を手掛けるTechMagic社の炒め調理ロボット「I-Robo2」が、ラーメン専門店「一風堂」の新規オープン店舗「一風堂 ウツノミヤテラス店」に導入された。オプションの循環フードにより厨房内の設置自由度を高め、飲食店の省人化と味の品質安定化に貢献する。(文=RoboStep編集部)

循環フードで設置自由度向上、「I-Robo2」の進化点


(引用元:TechMagic

TechMagic株式会社は、株式会社 力の源カンパニーが展開するラーメン専門店「一風堂」が2025年4月24日に新規オープンした「一風堂 ウツノミヤテラス店」へ、炒め調理ロボット「I-Robo2」を新たに導入したと発表した。一風堂への「I-Robo2」導入はこれで3店舗目となるが、新規オープン店舗にI-Roboが導入されたのは今回が初の事例だ。この導入は、スタッフの業務負担軽減と、ラーメンの定番サイドメニューである「博多チャーハン」の調理における味の品質均一化を目的としている。

今回の導入における最大の注目点は、「I-Robo2」にオプション機能である「循環フード」が取り付けられたことだ。これにより、従来は設置が難しかった厨房内の排気設備がない場所でも「I-Robo2」の設置が可能となった。


(引用元:TechMagic

飲食店において、厨房内のレイアウトや設備はオペレーション効率に直結する重要な要素だが、大型調理機器の設置には排気設備の確保が不可欠だった。循環フード付きの「I-Robo2」は、この制約を取り払い、店舗設計の自由度を大幅に向上させる。クライアントのオペレーションに最適な位置へロボットを柔軟に配置できることは、調理ロボット導入のハードルを下げ、より多くの飲食店での活用を促進する大きな一歩と言えるだろう。

「I-Robo2」自体も、従来モデルから進化を遂げている。本体サイズはよりコンパクトになり、限られた厨房スペースへの対応力を強化。日々の運用に欠かせない洗浄性や、調理指示を行うタッチパネルの操作性も向上し、現場スタッフの使いやすさを追求した設計となっている。さらに、安全ガードや今回の循環フードなど、多様化するクライアントのニーズに合わせたオプションも充実しており、店舗ごとの状況に応じたカスタマイズの幅が広がっている。

「厨房革命」の足音、調理ロボット普及への道筋

飲食業界では、深刻化する人手不足や熟練調理師の確保難、そして国内外への多店舗展開における品質維持と効率的な運営の両立といった課題が山積している。こうした状況下で、「I-Robo2」のような調理ロボットへの期待は高まる一方だ。

炒飯や野菜炒めなど、従来は熟練の技術を要した炒め物調理も、ロボットが攪拌から加熱、鍋洗浄までを一貫して自動化。レシピに基づき加熱温度や時間、鍋の動きを柔軟に調整することで、経験の浅いスタッフでも均一で高品質な料理提供が可能となり、店舗ごとの味のばらつきも抑制できる。

(引用元:TechMagic

調理作業の自動化はスタッフの業務負担を大幅に軽減し、より創造的なメニュー開発やきめ細やかな顧客サービスといった付加価値の高い業務への注力を促す。進化を続ける調理ロボットは、省人化と品質安定化を高いレベルで両立させ、飲食業界全体の持続的な成長と、新たな店舗モデル構築を力強く後押しする存在となりつつある。

今回の「一風堂 ウツノミヤテラス店」への導入事例は、調理ロボットの社会実装が着実に進んでいることを示すものだ。特に、循環フードのような設置条件を緩和する技術は、これまで導入が難しかった中小規模の店舗や、既存店舗の改装時におけるロボット導入の可能性を大きく広げる。調理ロボットは、単なる作業の代替に留まらず、飲食店の厨房設計や働き方そのものに変革をもたらす「厨房革命」の旗手として、その役割をますます拡大させていくことだろう。