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2024.12.23

配膳ロボットやロボット掃除機の活用にも期待! 小型化・低消費電力化を実現した3D ToFセンサ

TOPPANホールディングスは、小型化と電力消費量を低減した新型の3D ToFセンサを開発した。このセンサを使えば、赤外線を使ってカメラから物体までの3次元距離を測定することができる。

2023年に第一世代が開発された同社の3DToFセンサ。今回、第一世代の製品で実現していた高い距離精度や高速撮像をさらに向上させたという。

2025年10月には量産開始を予定しているという3D ToFセンサにより、ロボティクスや空間認識における3Dセンシングのさらなる高精度化に期待が膨らむ。(文=RoboStep編集部)

3Dセンサに求められる要求が高まっている

昨今のスモールモビリティやロボティクスでは障害物や段差の検知、ゲーミングではユーザーと対象物までの距離を計測し自己位置の把握と周囲環境の地図生成で、3D ToFセンサが広く使用されている。これらの用途では小型かつ高性能なバッテリー駆動製品が多く、搭載される3Dセンサには「高い距離精度」だけではなく、「低消費電力」「低遅延」「小型化」への要求が高まっている。

第一世代の3D ToFセンサは、「ハイブリッドToF(Time of Flight)」による4つの性能(長距離測定、屋外測定、高速撮像、複数台同時駆動)を実現した。ハイブリッドToFはショートパルス型ToF方式とマルチタイムウインドウ技術によるセンサ制御を融合した技術および、その技術を搭載した3D ToF センサ・カメラのこと。強力な外光耐性と被写体ブレに強いという特長を持ち、屋外環境で太陽光の影響を受けずに使用でき、動きの速い物体を逃さず捉えることができるというメリットがある。

今回開発された新型の3D ToFセンサは、これまで第一世代の製品で実現していた高い距離精度や高速撮像をさらに向上させ、小型化と電力消費量を低減したものだ。これによりロボティクスや空間認識における3Dセンシングのさらなる高精度化に貢献し、幅広い活用が可能となる。2025年5月からサンプル出荷開始、2025年10月に量産開始を予定しているという。

今回、同社では新たに小型ロボットやスマートグラスへの搭載を可能にした3D ToFセンサを開発。本製品では第一世代の4つの性能に加え、「HDR(ハイダイナミックレンジ)機能」「画素ビニング機能」を内蔵することにより、より高い精度で距離の測定とデータ転送の最適化を実現している。また、センサの電力消費量を削減する「ディープパワーダウンモード」の実装、回路設計の最適化によるセンサチップの小型化を行った。これらによって、小型な配膳ロボットやロボット掃除機、バッテリー駆動のスマートグラスなどに搭載するカメラの3D ToFセンサとして活用しやすい製品となった。

これまで以上に優れた距離精度での距離測定を実現

TOPPANグループ独自の技術である「ハイブリッドToF」は、最大120fpsの高速動作、外光ノイズをリアルタイムに除去するセンサ駆動、低モーションアーティファクトを実現している。モーションアーティファクトとは、移動する被写体を撮像したときに、信号処理や画像処理の過程で意図せず発生するデータの誤りのことだ。

また、新たに「HDR機能」「画素ビニング機能」をセンサに内蔵。HDR機能では、ToF方式が苦手としている低反射率と高反射率の対象物を同時に捉えることが可能となった。さらに、4×4画素ビニング機能では16画素を1画素として扱うことで、第一世代の4倍のSN比を実現した。SN比とは信号(Signal)とノイズ(Noise)の比のことで、この値が大きいほど、高性能であるという事を示す。これらの機能により距離ノイズを低減し、これまで以上に正確なセンシングが可能となる。

さらに、センシングしたい画像領域を切り出す機能により、データ処理量の削減とデータ転送の高速化を実現した。この機能により、ユーザーのシステム処理負荷を軽減することができる。

センサの低消費電力化も実現した。センサの待機電力を削減するディープパワーダウンモードの搭載により、待機電力5mW以下を実現。家庭用ロボット掃除機、VR/AR機器、ドローン等小型バッテリー駆動製品の省エネ/長時間作動に貢献する3D ToFセンサとして、さまざまな製品への組み込みが期待される。

さらなる小型化も進む。センサ設計の最適化で従来製品から入出力ピン数を削減することにより、TOPPANの従来品と比較して約20%のセンササイズ小型化を実現した。これによって、周辺機器のハードウェア設計の柔軟性を向上させ、コストの大幅な削減が期待できる。これらの特長は、近年急成長しているスモールモビリティ、ロボティクス、ゲーミングといったアプリケーションの中でもシニアカー、ロボット掃除機、スマートグラスなどで正確に対象物を捉え安全に駆動するために最適といえる。

同社は、新型ToFセンサとそれを搭載したカメラ、ならびにその周辺受注を含めて、2025年度中に約15億円の売上を目指すという。