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2024.12.19

改めて「ドローン」について学ぶ!産業現場で活躍する無人航空機の基本と活用法

製造現場での点検作業から農業、空撮まで、さまざまな分野で活用が進むドローン。人の立ち入りが困難な場所での作業や人手不足の解消など、多くの課題解決の可能性を秘めています。

2015年の「ドローン元年」以降、技術の進歩と法整備が進んだことで、ビジネスでの活用機会は着実に広がっています。本記事では、ドローンの基礎知識から具体的な活用方法まで、わかりやすく説明していきます。

(引用:unsplash

ドローンの基本を理解しよう:無人航空機の定義と特徴

まずはドローンの基本的な概念と、その特徴について見ていきましょう。

ドローンの定義と名前の由来

航空法では、重量100g以上の「遠隔操作または自動操縦により飛行させることができる無人の飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船」をドローンと定義しています。 一般的に私たちが目にするドローンの多くは、複数のプロペラを持つマルチコプター型と呼ばれるタイプです。

ドローンの名称は「drone(オスバチ)」という英語に由来しており、飛行時の音がハチの羽音に似ていることから、この名前で呼ばれるようになりました(名称の由来・語源には諸説あります)。

もともとは軍事用の無人機として開発されましたが、現在では産業用から趣味用まで、幅広い用途で利用されています。

基本的な構成と特徴

ドローンの基本的な構成要素は以下の通りです。

●機体本体とプロペラ

バッテリー(一般的に20~30分程度の飛行が可能)

カメラやセンサー類(用途に応じて搭載)

操縦用リモコン

映像モニタリング用のタブレットやスマートフォン

用途に応じた専用アプリ

特に注目すべきは、GPSによる位置把握機能と自律飛行能力です。これにより、プログラムされたルートに従って自動で飛行したり、バッテリー残量が少なくなった際に自動で離陸地点に戻ったりすることができます。

なぜ今ドローンが注目されているのか

人手不足や高齢化が深刻化する中、ドローンは多くの産業分野で新たなソリューションとして注目を集めています。従来は人が直接行っていた高所での点検作業や広大な農地への農薬散布など、危険や負担の大きい作業を、ドローンが効率的に代替できるようになってきました。

また、従来は航空機やヘリコプターを使用していた空撮や測量においても、ドローンの活用により大幅なコスト削減が可能になっています。特に、人が容易に近づけない場所や災害現場での調査など、ドローンならではの活用方法が広がっています。

ドローンの主な活用分野

ドローンの活用例は多岐にわたり、分野ごとに特徴的な使われ方をしています。ここでは代表的な活用事例をいくつか紹介します。

農業分野での活用

農薬散布を中心に、ドローンの活用が急速に広がっている分野です。これまで人力や無人ヘリコプターで行っていた作業を、より安全かつ効率的に実施できるようになりました。また、撮影した画像から作物の生育状況を分析したり、害虫被害を早期に発見したりすることも可能です。

点検・測量での活用

建築物やインフラの点検では、高所作業のリスクを軽減できる点が高く評価されています。橋梁やダム、送電線などの点検も、ドローンを使用することで安全かつ詳細な調査が可能になりました。また、3D測量技術と組み合わせることで、建設現場の進捗管理も効率化できます。

空撮・映像分野での活用

不動産物件の航空写真や、イベントの記録など、従来よりも手軽に空撮が実現できるようになりました。テレビ番組や映画の撮影でも、ドローンによる空撮は欠かせない存在となっています。

物流・災害対応での活用

過疎地域への配送や災害時の物資輸送など、新しい物流の形としてドローンの活用が期待されています。また、災害発生時の被災状況確認や要救助者の捜索など、人命救助の場面でも重要な役割を果たすようになってきました。

ドローン活用における規制と注意点

ドローンの飛行には、航空法による規制が適用されます。特に以下のような条件下での利用には、国土交通大臣の許可や承認が必要となります。

●空港周辺など特定の空域での飛行

人口集中地区上空の飛行

夜間の飛行

イベント上空での飛行

目視外での飛行

また、重要施設の周辺(国会議事堂、首相官邸、原子力発電所など)や文化財の周辺での飛行は、別途規制の対象となります。ドローンの活用にあたっては、これらの規制を十分に理解し、必要な手続きを行うことが重要です。

中国・深圳では、ドローンによる配送も進んでいます。日本での実用化は上記の懸念点もありこれからと言ったところ

ドローン活用の次なるステージは?進化を続ける無人航空技術

昨今の技術発展により、ドローンの飛行時間は着実に延び、搭載できるセンサーも多様化しています。さらにAI技術との組み合わせにより、より高度な自律飛行や状況判断も可能になってきました。

今後は、都市部でのドローン配送やインフラ点検の完全自動化など、新たな活用方法が広がっていくことが期待されます。また、災害時の支援ツールとしても、ドローンの重要性は増していくでしょう。

ドローンは、私たちの働き方や社会システムを変える可能性を秘めた技術です。適切な規制の下で安全に活用することで、多くの社会課題の解決に貢献することができるでしょう。